連載 インドの神髄
世界の技術で日本のビジネスを変える
インド最大手かつ世界トップクラスのITサービス企業であるタタ コンサルタンシー サービシズ(以下、TCS)。その日本法人、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(以下、日本TCS)では、プロジェクトをリードする「デリバリーマネージャ」「UI/UXディレクター」の採用を強化しています。日本TCSで働く魅力や得られるキャリアについて、ライフサイエンス部門デリバリーマネージャの武谷倫太郎氏と、同社初のUI/UXディレクター稲葉政文氏にお話を伺いました。
プロジェクト統括から、海外メンバー育成まで幅広く経験できる
──武谷さんは、日系SIerのプロジェクトマネージャのご経験後、2022年に日本TCSに入社されたそうですが、転職の背景についてお聞かせください。
SIer時代に製薬業界のビジネスに関わった経験から、この業界を突き詰めたいと考え、前職では製薬業界特化の米系IT企業に在籍していました。そのときに出会った知人から、日本TCSを紹介され興味を持ったのが転職のきっかけです。 入社の決め手は、日本TCSがインド系企業であることでした。今、インドは非常に人口も多くパワフルで、IT業界を筆頭に世界的な企業をインド人がリードする事例も多く、勢いもあります。文化を含めインドを学びたいという思いがありました。
──武谷さんはライフサイエンス部門のデリバリーマネージャとして、どのような業務を担われているのでしょうか。プロジェクトマネージャとの役割の違いについても教えてください。
私は、製薬業界向けのITシステムの開発・導入から運用までのプロジェクト管理を担当しています。デリバリーマネージャはお客様ごとに担当し、複数のプロジェクトの全体統括に加え、営業メンバーと連携して新たな提案を行っています。 プロジェクトマネージャは、プロジェクト単位で担当を持つ職種となります。私の配下にはプロジェクトマネージャが複数名おり、私も必要に応じて個別プロジェクトに入りこみ、軌道修正やスピードアップのフォローもしています。デリバリーマネージャはプリセールスを含めて提案から、プロジェクトマネージャは基本的には受注後から案件に参加します。 海外との協業が前提なので、夜間や朝方の会議も少なからずありますが、リモートワークを中心に、私用で中抜けするなどフレキシブルな働き方ができています。
──デリバリーマネージャとして取り組んできたプロジェクトで、印象的な事例についてお聞かせください。
入社当初に担当した、グローバルに展開する日系製薬大手のドキュメント管理システムの移行プロジェクトが印象に残っています。当時はプロジェクトマネージャとして参加しましたが、私以外全員がインド人のチームだったことには驚きました。前職のグローバル案件では、基本的に日本語で議論を行いながら日本側で方向性を決め、必要に応じて海外のメンバーに伝えるという進行が大半でしたが、このプロジェクトでは、インド人のメンバーに対して、方針の策定、進捗管理、評価も含め全て英語を前提に行うケースもありました。これは私にとって初めての経験でした。 外国籍のメンバーと連携するうえでは、彼ら・彼女ら自身の納得が非常に重要で、何をどうやるのかという点のみならず、なぜやるのかといった背景や目的を毎回意識して説明することを心がけました。それにより、チームとして大きな認識齟齬もなく進めることができ、結果として、このプロジェクトはお客様にとって日本TCSとの初めての案件でしたが、高い評価をいただき現在もお付き合いが続いています。
日本とインドが協業するハイブリッドな環境で、外資の初挑戦にも
──武谷さんが日本TCSの仕事を通して感じる面白さや醍醐味について教えてください。
日本TCSの特徴といえば、日本とインドが協業する「ハイブリッドモデル」です。グローバルなコンビネーションが当たり前すぎる環境で、日々、日本と海外を分けて考えることすらありません。欧米企業の場合、IT環境と製薬マーケットどちらの観点でも非常に成熟し、型ができているところがあり、欧米のやり方を踏襲するだけのケースも少なくありません。その点、インドの仕事の進め方は共に考える余地があり、日本とインドが並列で一丸となって取り組むカルチャーを感じます。 業務の面では、お客様が選んだソフトウエアであれば多岐にわたってサポートができるので、案件の幅が非常に広いです。また、インドの豊富なIT人材を活用できることから、リソース不足に悩まされることも少なく、規模の大きな提案ができることも醍醐味だと思います。
──転職してから新たに得られたスキル・経験についてお聞かせください。
特に多様なバックグラウンドを持つメンバーが気持ちよく働くためのメンタリング・コーチングなどを含め、マネジメントの部分で新たな経験ができています。日本TCSではAIや機械学習をはじめとする先端技術や、その他研修カリキュラムも充実しており、個人の希望でさまざまな研修を受けられます。私もその制度を使いパッケージソフトウエアの資格を取得するなど、新たな知見や学びを日々得られています。 描けるキャリアとして、デリバリーマネージャを経験した後は、より統括する範囲を広げてマネジメント職を深めていくキャリアと、特定領域に特化しアドバイザーとしてさまざまな案件を支援するキャリア、どちらの方向性もチャンスがある点にも魅力を感じています。
──デリバリーマネージャとして、どのような方に応募していただきたいですか。
私が所属するライフサイエンス部門のデリバリーマネージャでいえば、製薬業界に対してITシステムのプロジェクトを担った方ですとご活躍いただけると思います。「製薬業界の知見」「IT領域のプロジェクトマネジメント」のいずれかのご経験がある方も歓迎します。各業界や先端IT技術の研修制度がありますので、入社後にご活用いただけます。 また、外資企業は初めてという方でも働きやすい企業だと思います。インドのメンバーは日本の文化や考え方を研修で学んでいることも多く、グローバルな環境でありながら全員が肩を並べて同じ方向を向いていける環境だと自負しています。キャリアの幅を広げたい方の応募をお待ちしています。
BtoBの領域も、「UI/UXデザイン」を当たり前に
──稲葉さんは、国内外でアートディレクターやシニアデザイナーとしてご活躍された後、2022年に日本TCSに参画されたそうですが、入社を決めた理由についてお聞かせください。
私はイギリスでグラフィックデザイナーとして紙媒体を中心としたブランドデザインを経験し、日本帰国後はデジタルに軸足を移し、制作会社や外資系広告代理店にてデジタル関連プロジェクトに携わってきました。 転職を考えたのは、デザイナーとして制作だけではなくディレクションのスキルを身に付けたいと思ったからです。当時、日本TCSはDesign Studio Tokyo(以下、デザインスタジオ東京)のチーム立ち上げの時期で、新しいチームを一から作り上げる経験ができると思いました。 また、日本TCSがインドの会社であることも決め手になりました。インド文化に興味を持ったことに加え、世界の名だたるIT企業の社長がほぼインド人である現状に鑑みると、今後もデジタル領域でキャリアを積みたい自分にとって、この経験は役立つはずだと考えました。
──デザインスタジオ東京の役割と、稲葉さんが務めるUI/UXディレクターとしての業務内容について教えてください。
デザインスタジオ東京は、お客さまの課題解決への道筋をデザイン思考の手法で導き出すチームです。デジタルプロダクトのデザインはもちろんのこと、日本企業でもデザイン思考を強化したいというニーズを受けて、サービスデザイン、エクスペリエンスデザインなどのサービスを提供しています。直近では、AIを使用したアプリ開発のような挑戦的なプロジェクトも増えてきています。 デザインスタジオ東京には、UI/UXデザイナーのほか、戦略を担うサービスデザイナーが所属しています。UI/UXディレクターは、お客様やチームメンバーと議論しながらプロジェクトのゴールや方向性を決め、TCSが持つグローバルな開発力を掛け合わせ、デジタルサービスやブランドの創出・改善を進めていきます。
TCSの規模感と影響力を生かし、デザインで社会課題を解決する
──稲葉さんが印象に残っているプロジェクトはありますか。
シンクタンクのお客様のメディアサイトをリニューアルした案件は、私たちデザインチームが初めてチームとして動き、かつ、最初から入り込めるプロジェクトでした。プロジェクト体制は、デザインスタジオ東京がデザインを、システム開発はインドのチームが担い、私はUI/UXディレクターとしてお客様のヒアリングやプレゼンテーションからデザイン開発まで行いました。 日本TCSはシステム開発に強い会社なので、「どこまでデザインカルチャーを受け入れてくれるのか」という不安はありました。しかし、実際にはデザイン思考を主体的にくみ取り、1ピクセル単位での修正も反映してくれるなど、メンバーの受容力や技術力の高さに驚かされました。オンラインで密にコミュニケーションを取りながら細かく詰めていったことで、関係各所がしっかりと連携して作り上げることができ、お客様からもご好評をいただけました。
──日本TCSの仕事を通して感じる面白さや、日本TCSで働く魅力について教えてください。
TCSのグローバルな顧客網と開発力を活用できる点は大きな魅力です。BtoCにおいてデザイン思考は一般的ですが、BtoB領域はまだ発展途上だと考えています。例えば、基幹システムなど業界特有のアプリケーションやシステムが使いやすくなったら、労働時間の劇的な削減など大きなインパクトにつながるはずです。日本TCSでは、まだまだUI/UXの知見が浸透していないこの部分を支援することで、社会に役立つデザインに直結したものを生みだせる可能性があります。 デザインスタジオは日本だけでなく、世界10カ所にあり、世界最先端の知見を常に共有し続けています。インドはビジネスへの熱量にあふれる場所ではありつつ、デザインカルチャーという面ではまだまだ伸びしろがあると思いますので、私たちの知見をシェアすることで、TCSグローバルのデザインチームとも連携し、これからのインドのデザインカルチャーを作る存在になりたいと考えています。
──ユーザーエクスペリエンス(UX)向上に向けて、どのような人材に参画していただきたいですか。
UI/UXディレクターやデザイナーとしてご活躍中の方ですと、その経験をさらに伸ばしていただけるはずです。UI/UXディレクターは業務のなかでビジネス英語が必要ですが、UI/UXデザイナーは語学力を問いません。英語の研修や学習サポート体制もあります。 デザインスタジオ東京は現在約10名の組織で、日本と海外のメンバーが半々くらいです。デザインに関してはオーナーシップを持っていますので、思い切りアウトプットができる良さがあると同時に、個々の経験を集約させながら組織を作っている途中なので、組織作りへの意気込みがある方は活躍の場が広がると思います。グローバルを舞台に新たな挑戦をしたい方をお待ちしています。
出典:ビズリーチ 公募ページ「日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社」
(2024年1月18日公開)より転載