ガバナンスは、あらゆるIT運用における重要な側面です。特にクラウドでは、コスト超過のリスク、アクセス制御が不十分な状態で導入された場合にはセキュリティ上の問題が発生する可能性が高くなります。
クラウドガバナンス、すなわちクラウドの運用に関する一連のルールは、セキュリティとコンプライアンスを強化し、リスクを管理し、IT資産とスキルを最適化するため、企業にとって必要不可欠です。これらが整備されて初めて、コスト削減やアジリティの向上、イノベーションの加速など、企業はクラウドへの投資から最大限の価値を得ることができます。
クラウドのガバナンスが有用だということは明らかです。TCSとお客さまとの取り組みによると、合理化されたガバナンスモデルによって、30〜40%と高いレベルでさらなる自動化を実現し、イノベーションを加速することができたのです。 そして、異なる環境間でのサービスやリソースの利用を最適化したり、ライセンスを統合したりすることで、最大80%の削減効果を得た例もあります。また、製品のサイクルタイムを最大で60〜70%短縮した例もあります。
では、クラウドガバナンスモデルを構築、或いは簡素化する際に企業はどのような点に着目すべきでしょうか。
まず、オンプレミスとクラウドの双方で、何がうまくいっていて、何がうまくいっていないのかを把握することから始めましょう。各チームの役割と責任を明確に定義し、目標を達成するための効果的なモデルを作ることが重要です。 留意すべき点は、目標とするガバナンスモデルは、企業が新しいものを取り入れ、オンプレミスからクラウドへの移行を迅速かつシームレスに行えるような柔軟性を備えていることです。そして、クラウドトランスフォーメーションを成功させるために適切な人材を確保し、リスク把握を優先させることも、留意すべき点です。
これらの基本事項を踏まえた上で、クラウドのガバナンスモデルを構築する際に考慮すべき点は以下の通りです。
つまり、クラウドガバナンスは、プロセスや適切なフレームワークとツールの組み合わせと同じように、人間にも関係してくるのです。そのため、組織全体での変更管理やスキルアップの活動を通じて、従業員の賛同を得るように努めることがベストです。
一例として、TCSはある大手金融機関において、ハイブリッドのクラウドガバナンスモデルの構築を支援しました。 お客さまの課題は、タッチポイントが多く、複雑な承認メカニズムのため実行サイクルが非常に長くなり、ユーザーが不満を感じていたプロセスを合理化することでした。 TCSは、自動化の機会と共に、適切なチェックとバランスを備えた簡素化されたプロセスを特定することを支援しました。また、適切なサイジングとFinOpsの合理化についても支援しました。
その結果、ハイブリッドのクラウドガバナンス戦略を導入することで、生産性を40%、コストを50%、アジリティを35%、コンプライアンスサイクルタイムを65%、顧客満足度を30%向上させることができました。
クラウド活用によりビジネス成果を上げているお客さまは、クラウド移行検討の初期段階において自社の課題を抽出し、課題解決の状況をモニタリングできるクラウドガバナンスを導入しています。
TCSはグローバルで豊富なクラウドガバナンス支援実績を持っています。
Soumya Chatterjee Soumya Chatterjeeは、TCSの製品管理のグローバルエンジニアリングヘッドです。さまざまな製品開発およびソリューション作成活動で20年以上のIT経験を持ち、製品エンジニアリングと設計を主導して、デジタルロードマップ、ツールセット、フレームワーク、およびソリューションを活用し、TCSの顧客の価値を高めています。
監訳者
手塚 敬一 手塚敬一は、日本TCSのコグニティブビジネスオペレーション統括本部クラウドビジネス推進担当です。ITプラットフォーム業界で25年以上に渡り製品企画、ロードマップ策定、グローバルアライアンスを担当し、現在は日本TCSのクラウドビジネス推進をリードしています。
※掲載内容は2021年12月時点のものす
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