自社の競争力を強化するため、データドリブンを超えてAIドリブンな経営を目指す企業が増えています。
AIドリブンな経営を実現するには、クラウドの効果的な活用が欠かせません。お客さまのクラウド活用を支援するために、日本TCSはどのようなケイパビリティー強化に注力しているのか。
クラウドビジネス統括本部長の洪 種敏と、アライアンス本部長の山縣 真樹が語ります。
洪――日本企業のIT組織の特徴の一つとして、機能別に組織を細分化して構成する傾向があります。クラウドの導入・活用には、ネットワークやインフラ、アプリケーション、当然ビジネス部門も含む、さまざまな分野(=組織)の参画が必要です。
しかし、細分化された組織構造の中では、責任の所在があいまいになるとともに、クラウドをビジネスでどう活用していこうかと考えた時に、担当者によって目指す方向性が異なる可能性があります。
インフラ担当であればインフラの刷新であると考えますし、アプリ担当の方であれば、どうクラウドをアプリケーションに活用するかという見方になります。そのため、各部門で目的を設定してしまうと、プロジェクトを進める上で検討・調整しなければならないことがたくさん出てきてしまう。それでは全社におけるクラウド化やその先のクラウドの有効活用は難航する可能性があります。
洪 種敏(ほん・じょんみん)
日本TCS クラウドビジネス統括本部長
日系や外資の複数社で、マネジメント職を含めIT 関連のさまざまな職種を約20年経験。国や地域をまたぐクラウドサービスの提供およびクラウドソリューション・アーキテクトリードを担った経験から、クラウド導入だけでなく、企業がビジネス上の成果を挙げられるクラウド利活用を実現することに注力している。
洪――ご提案したいのは、組織ごとではなく会社全体で目的を設定し、その目的を中心に進めていくアプローチです。
「これを実現するんだ」という共通のゴールを強いメッセージとして示し、そのためにどうするか決めていくプロセスで取り組むことで、クラウド活用を成功に導けると考えています。
これを実現するためには、クラウド活用における一連のフェーズを俯瞰、伴走できるパートナーを選ぶことが重要です。コンサル、導入、運用のそれぞれに特化あるいは強みがある複数のパートナーが入れ替わり立ち代わりするのでは、クラウド活用を中長期的かつ全体観をもって進めることが難しいと考えるためです。
日本TCSは目的、すなわち「クラウドを利活用したビジネス変革」に向けた戦略の立案から、ビジネス価値を創出するソリューションの提供、クラウド環境への移行、昨今導入が活発に進んでいるAI及びデータの活用、マルチクラウド環境の複雑な運用に至るまで、クラウドに関するさまざまな課題にシームレスに対応しています。
ですので、「こんなことをやりたいんだけど、どうすればいい」という段階でも安心してご相談していただきたいと思っています。
山縣――どの業界でもそうですが、企業が単独でできることは限られているので、私たちITサービス企業も、お客さまの支援にあたってはパートナー企業と一緒にソリューションを作り上げる必要があります。そのため、ITサービス企業にとってアライアンスは必須の時代であるといえるでしょう。
強いアライアンスをもつITサービス企業を選ぶことは、お客さまの選択肢を広げます。アライアンスが弱いとソリューションの選択肢が限定され、提案できるソリューションの種類や範囲が狭まってしまいます。
TCSは英国Brand FinanceからAIやサステナビリティーへの取り組みや成長性などが高く評価され、世界第2位の価値あるITサービスブランドに選出されています。これらTCSのケイパビリティーやスケールを背景に、グローバルでは主要なベンダーと強いパートナーシップを築いており、多くは最上位のパートナーレベルの認定を得ています。
そうした関係性を背景に、日本でも手厚いサポートを受けられるため、お客さまには安心感をもって相談していただけるものと自負しています。
山縣 真樹(やまがた・まさき)
日本TCS アライアンス本部長
日本TCSのパートナー企業に勤務していた経験から、現在は日本TCSとパートナーをつなぐハブとして相互理解を深めることに注力。経営層同士の定期的な面談、説明会やワークショップの開催、共同ビジネスプランに基づき、パートナーとの連携強化と新規案件創出に取り組む。
山縣――アワードは、世界中でビジネスをしているシステムインテグレーターを対象としています。ほかにもAPACや米国などのサブリージョンのカテゴリーもありますが、グローバルは最上位とされています。よって今回の受賞は、TCSがAWSのパートナーとして最上位の評価を頂いたと感じています。
こうしたグローバルでの強いリレーションシップを背景に、日本でもAWS社と密接にタッグを組んでいますので、、AWSクラウドに関する相談は安心してTCSにお任せ頂ければと思います。
洪――評価されたケイパビリティーの中で、特に強調したいのが、支援できるソリューション領域の広さであると思っています。TCSが多様なグローバル企業を支援していることも合わせて、その知見や経験は日本のお客さまに提供できる価値にも直接つながります。
なぜなら、TCSは豊富な知見や経験を持つグローバルリソースを活用した、日本とグローバルのハイブリッド体制でプロジェクトを推進するため、世界中の先進事例をもとにしたご提案および支援ができるからです。
山縣――日本TCS は、どの主要クラウドベンダーとも良好な関係を築いており、中立的な立場でいることを重視しています。一方で、AWSは日本のクラウドマーケットのシェアでナンバーワンである、つまり、採用しているお客さまが多いということですので、当然ながら私たちも注力しています。
また、AWSはエンタープライズ向けのパートナーエコシステムが強固である点も特長で、インフラレイヤーからイノベーションレイヤー、アプリケーションレイヤーまで考えたときに、豊富な選択肢を持つことが強みになっています。
洪――もちろんそれぞれの強みや特徴はあるもののクラウドベンダー間での優位性について話すのは非常に難しくなっていると感じています。ですが人材の側面から見ると、マーケットシェアが高いと、人材の流動性も高まる傾向があります。
その意味では、優秀な人材を獲得しやすい、という長所があるのではないかと思っています。人材の需要の高まりを受けて、日本TCSでもAWS人材の育成に力を入れています。
洪――クラウドの捉え方は、従来インフラに近いものでした。ですが実はそうではない、ということを私はメッセージとしていつもお伝えしています。重要なのは、クラウドを利活用することでデータドリブンなビジネスに変革することです。
直近ではさらにその先のAIドリブンを目指して、データ活用のための強いデータ基盤、それを支えるガバナンスの効いたクラウド基盤をお客さまに提供するケイパビリティーの強化を強く推進していきたいと思っています。
山縣――データアナリティクスやAIの活用の面で、日本TCSはまだまだ強化する余地があると考えています。そのためアライアンスでもこの二つに重きを置き、パートナーシップの強化を進めているところです。
洪――繰り返しになりますが、お客さまには目的志向になっていただきたいと思っています。やりたいことがあって、どうすればいいかわからない。海外でこんなことをやっていると聞いたけど、TCSどう思う?そういうやわらかい段階でも大丈夫です。そんなときに戦略の立案から実際の運用まで一貫して支援できるケイパビリティーを日本TCSは持っています。
TCSに対して、人材を供給するのが強みの企業という認識がいまだに残っているのではないかと思いますが、そうではありません。戦略からエンドツーエンドで支援できるケイパビリティーを、グローバルを背景にした知見でもってお届けできる点が強みです。ご相談いただけたら必ずわかっていただけると思いますので、ぜひ気軽にお声がけいただきたいです。
山縣――TCSは営業・デリバリーとも常にベンダーニュートラル(中立性)を維持しようというマインドが強く、特定のベンダー製品を売り込むことはありません。グローバルに築いている強固なアライアンスによりお客さまのニーズに応える豊富な選択肢を揃え、かつ、それらを押し付けやロックインなしにニュートラルにお客さまに最適な組み合わせで提案する。これがTCSならではの強みです。
※掲載内容は2024年3月時点のものです
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