ビジネスや人々の働き方を大きく変える力を持つ自動化技術は、デジタルトランスフォーメーションを加速する鍵を握っています。
自動化は日雇い労働者から銀行家やデザイナー、いわゆる「C- スイート」と呼ばれる企業の経営幹部などの専門職の人々まで、その働き方を変えつつあります。それを可能にしているのは、AIやロボティクス(ロボット工学)、機械学習といった技術の飛躍的な進歩によってもたらされます。コンピューターやロボットは、手作業や肉体労働を代替するものから、十分な情報とその認知に基づいて自律的に意思決定を行うものへ移行しつつあります。その結果、ビジネス活動のさまざまな領域に自動化の影響が及んでいます(図1参照)。
自動化の導入は、もはや企業が成功する上で欠かせないケイパビリティといえます。自動化は、コスト削減による最終損益の改善と、収益増大への寄与による売上高の成長の双方に貢献します。医療業界や組織横断的に自動化を導入している業界で最も進んでいる一方で、製造やエネルギー業界では対応が遅れています。
幅広く応用が進んでいる自動化ですが、現段階では機械学習やアルゴリズムなどの技術を組み合わせて特定の業務を遂行するにとどまっており、まだ初歩的な段階といえます。専門家らは、2040年ごろまでには自動化のレベルが成熟し、コンピューターやロボットが人間のように働けるようになると予想しています。
その先、自動化がどのように進化していくかは予測困難です。次の段階としてはまず、機械が人よりはるかに知的かつ有能になると期待されています。そうなったとき、人々が抱く最大の懸念は、「自動化技術に職を奪われる」ことではないでしょうか。自動化によってさまざまな分野の手作業が代替されるのは間違いないでしょう。しかし完全に人間に取って代わることはできません。例えば看護師が行うような高価値の業務では、現段階の自動化に出る幕はありません。たとえ自動化技術によってそれまで人間が行ってきた仕事の一部が代替されるとしても、同時に従来存在しなかった全く新しい分野の仕事が創出され、人間がそれを担うことになるでしょう。
タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、企業が最先端のデジタル技術を最短の時間で取り入れ、同時に効率性を高められるよう、「Machine First Delivery Model(MFDM)」を新たに考案しました。MFDMは、従来とは一線を画す、 エンタープライズITの積極的な管理を行うコグニティブソリューションを創出するためのデリバリーモデルです。TCSの知的財産を活用した独自のコグニティブエンジンはもちろんのこと、「知覚- 思考- 行動- 学習」の原理に従ったものであれば、サードパーティーのAIエンジンにも対応します。このデリバリーモデルは、セルフヘルプ、セルフヒール(自己回復)の能力を備えた自律的なソリューションを提供する上で、既にTCSの標準的な手法となっています。MFDMは状況対処型のITサービスから、専門家主体のより機敏なサービスのデリバリーへの移行を助けます。
TCSが提供するビジネスレベルの自動化ソリューションとして特徴的なのは、「エンタープライズインテリジェントオートメーション」の分野です。
エンタープライズインテリジェントオートメーション分野に加えて、TCSのビジネスレベルでの自動化ソリューションを特徴づけているのが、TCSが世界で初めて開発した、企業向けニューラルオートメーションシステム「ignio」です。企業のIT運用やプロセスを自動化、最適化することにより俊敏性を高め、業務リスクを低減し、ユーザーエクスペリエンスを向上します。
ignioは人間の頭脳のように機能します。人間の頭脳は生涯を通じて「スキル」を習得し続け、そうしたスキルを特定の状況や過去の体験などの知識と組み合わせることで行動に導きます。ignioもまた事業運営のさまざまな側面を自動化するための「ケイパビリティ」を習得し続けます。導入直後から企業内のITインフラ環境を学習、理解していきます。周辺環境のパターンや動きを認識します。さらにその知識を自身が蓄えたケイパビリティと組み合わせることで状況に応じて自律的な判断を下し、作業を遂行します。
さらにTCSは、ラボレベルでも図2・3のような自動化ソリューションに積極的な投資を行っています。
日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(日本TCS)は現在、画像分析、製造現場での不具合の検知、人材分析など、日本においても自動化に関する複数の取り組みを進めています。そのほかスマートマシンやロボティクスの分野でも、日本のトップレベルの大学と連携しています。
自動化技術は企業のビジネスや従業員の働き方の変革を推進し、デジタルトランスフォーメーション加速の鍵を握っています。
TCSは次世代のコグニティブオートメーションソリューションやAIソリューションといったアクセラレーターを通じ、企業の持続性向上、規模拡大、俊敏性、成長性の獲得を支援しています。また企業が自動化の相対的な成熟度を理解し、達成目的に優先順位を付け、周辺環境にネガティブな影響を及ぼすことなく、個々の状況に応じて最適かつ戦略的な自動化の展開を支援します。
※掲載内容は2018年2月時点のものです。