2020年には多くの企業でテレワークが導入され、受け入れられてきました。
しかし、少数のチームメンバーがリモートで作業をする場合と、チーム全員が自宅で作業をする場合では大きな違いがあり、これが大半の企業でテレワークに対応できていない課題となっています。
いくつかのステップを踏むことで、経営陣は従業員の業務だけでなく成果の評価や管理をリモートで実現できます。
混乱を避けるために、チームの行動規範と指針としてコミュニケーション、可用性、連携の目標を定めましょう
目的を明確かつ継続的に伝えることで、多くの変化とプレッシャーの中でチームが感じている不安や緊張を緩和することができるでしょう。チームをひとつにして定期的にサポートをするためにはデイリースクラムやマンツーマンでのミーティングが効果的です。
カレンダーの共有、会議、計画的な休憩や進捗報告、その他チームのコミュニケーション規則をつくることで生産性を向上させることができます。目標を定め、それを明確に伝えることで「テレワークでは怠けやすい」という経営陣の偏見をなくし、常に連絡がとれる状態にしておくことで従業員が感じているプレッシャーを和らげることができます。また、双方向通信により、雇用主と従業員双方がテレワークを成功させるために必要な信頼関係を構築できます。
例えば、Microsoft Teams は現在仕事をしている人と手が空いている人などチームの連携についての情報を瞬時に提供してくれます。上司は接続がオフになっているチームメンバーを特定して、問題に対処するためにマンツーマンの通話も設定できます。そして全員が同じ戦略と目標に向かうために、企業のトップは Microsoft Teams のライブイベント機能を使ってバーチャルタウンホールを通して全従業員とつながり、企業の優先事項に関する最新情報を伝えることができます。
重要なポイント:
混乱を避けるために、チームの行動規範と指針としてコミュニケーション、可用性、連携の目標を定めましょう。期日やタスクの管理には毎日の進捗報告が有効です。週に1回の確認により、全員で業務全体を把握できます。
テレワークでは業務において適切なツールを選ぶことがますます重要になります。リモートチームでは通信でのやり取りが主流なので、一時的な中断が大きなトラブルに発展する可能性があります。
チャット、プロジェクト管理、Webまたはビデオ会議、スケジュール設定、ワークフロー自動化、コラボレーション、プロトタイピングなどの企業ニーズに対応しているツールは既にたくさんあります。
これらのツールは、組織内での業務について有益なインサイトを提供してくれます。
Microsoft Office 365などの完成度の高いツールは、様々なインサイトをひきだしてくれます。MyAnalyticsは、作業にかかった時間などの個人の生産性に関する情報や仕事のパターン、福利、ネットワーク環境、組織内のコラボレーションなどを改善する方法を提供します。
チームリーダーは、団体行動によりチームが現状を改善し、パフォーマンスを向上できるためのインサイトを得られます。経営陣は、Workplace Analyticsにより組織の目標達成へ向けた現在の連携パターンの貢献度、失うリスクがある案件、ネットワーク動向など企業全体に関する情報を入手して、ビジネスにおける複雑な課題への対応に役立てることができます。
重要なポイント:
有能なリモートチームは適切な戦略とツールを持っています。このようなチームは優れたコミュニケーションスキルを発揮して、お互いをサポートしながら各自の業務に対する責任感を持ちます。ツールは個人、チーム、組織の情報を提供して、効率的な組織運営をサポートします。
テレワーク中の従業員のエンゲージメントレベルを左右するのは同僚やチームリーダーとの交流で、これはパフォーマンスに影響する場合もあります。チームリーダーは急にテレワークになった部下のストレスを理解して、彼らの不安や心配事に耳を傾け、悩みに共感しなければいけません。
従業員が個人および組織の目標に熱心に取り組むことで、生産性が向上します。自分の努力が企業の成功に貢献すると理解することで、責任感も強くなります。 責任感を持つことで、従業員はどこで働いていても業務全体を把握して、継続的に自分のパフォーマンスを向上させることができます。
従業員別に管理する手法を変え、彼らが毎日ベストなパフォーマンスを発揮できるように計らいましょう
マンツーマンでのフィードバックやバーチャルでのセッションにより従業員に同僚と交流する機会を与えることで、彼らの孤独感を解消しましょう。
重要なポイント:
「テレワークの調子はどうですか?」などの簡単な質問からでも、重要な情報を導き出せるかもしれません。
リモートで働く従業員のポテンシャルを高めるためには、職場に対する信頼が不可欠です。テレワーク中の部下と信頼関係を構築し、個別に管理してベストなパフォーマンスを発揮できるようにサポートする方法を見つけましょう。
そのためには、まず信頼関係を築きましょう。実際の職場でもバーチャルでも、信頼関係によりスピード、効率性、パフォーマンスを向上させることができます。
従業員はチームリーダーが自分を信頼してくれているという自信をもってチームリーダーのために働き、チームリーダーはテレワーク中のメンバーの能力を完全に把握して、スキルに応じて業務を割り当てる必要があります。
ビデオ会議やマンツーマンでのチャットを利用して、リモートチームとの戦略的関係と信頼関係を確立するチームリーダーもいます。
重要なポイント:
知的労働では、生産性は定量的な基準では測定できない場合もあります。こんな時は、テレワークでもメンバーが与えられた業務に真剣に取り組んでいると信じましょう。
新しいアイディアには、テストが必要です。自宅で働いている従業員の生産性を測定することは、適切なツール、プロセス、プラクティスの確保の上でも必要です。
しかし、この測定は企業にとって意味がある方法で、しかも従業員に有益となる方法で実施しなければいけません。従業員はフレキシブルな働き方を望んでいますが、疎外感や孤独感に押しつぶされたくはありません。
ここで注意すべき点は、人により働き方が違うということです。しっかり、かつ厳格過ぎない方法で従業員管理、プロジェクト手法、テクノロジーをカスタマイズすることで、システムを定期的に見直して公平にアウトプットを評価できます。
効率的であるためには、チームリーダーにも柔軟性が必要となります。従業員にできるだけ多くの情報を与えることで断絶による負担を和らげ、ストレスが多い時期でも全員の生産性を高めることができます。
※掲載内容は2021年3月時点のものです。
著者
Poonam Ashara
Microsoft 事業部、職場環境アナリスト