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2025年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2024年は日本TCSにとってさまざまな点で記憶に残る年となりました。
まず、三菱商事とTCSの合弁会社として発足してから10年を迎えました。当初、国内外それぞれ約2,000人からスタートした体制は、お客さまとのお付き合いの広がりと進展に伴い、今や合計1万人を超えるまでに成長しました。
これもひとえにお客さまやパートナーの皆さまからお寄せいただいているご支援と厚い信頼によるものです。改めて御礼申し上げます。
一方、10月には日本TCS発足の中心でもあったタタ・グループ名誉会長ラタン・タタ氏の逝去という、悲しい知らせがありました。最大の敬意と哀悼の意を込めて、私たちは彼の功績と信念を新たな決意として引き継いでいきます。
当社は2026年3月末期に向けた中期経営計画に示した売上高10億ドルの達成を目指し、実行力の基盤を着実に作ることを最優先に取り組んでいます。当社の日本企業向け開発・運用拠点であるインド・JDC(Japan-centric Delivery Center)には、昨年も個別のお客さま専用の開発センター(ODC:Offshore Development Center)を複数開所しました。国内では、お客さまの課題解決に最適なソリューションをもたらすコンサルティングチームの強化にも取り組んでいます。また、AI関連の知見と人材をAI CoE(Center of Excellence)として集約するとともに、戦略立案やプロトタイピングをお客さまと共に行う「TCS AI Studio」を麻布台オフィスに開設しました。人材面では、177名の新入社員の他、多くの経験豊かなプロフェッショナルを仲間に加え、ローカルとグローバルの強みを活かした基盤づくりも継続しています。
絶え間ない変化の中で、企業の目指すべき姿は、長期的な成長と持続可能な未来への道を切り開く「いかなる時代にも適応できる企業」です。
企業の成長と変革にはDXの実現が不可欠なことは言うまでもありません。しかし、既存業務やITシステムの運用・保守に多くの人材と費用がかかり、必要な経営資源をDXに割けずに思うように進まない状況を見受けます。特に、グローバルに事業を展開する企業では、大規模なガバナンスも必要です。これらの課題にどのように対処すればよいのでしょうか。
その答えは、業務プロセスやIT運用保守をグローバルにわたってシンプル化・標準化・自動化し、配分する人とコストを適切に管理することで、DX領域に振り向けるリソースを確保することです。これには、足元の業務やIT基盤を見直し、その先のDXを推し進められる状態(digital-ready)にするという意義もあります。そして最も重要なのは、DXの取り組みとは単にITランドスケープをモダナイズすることではなく、ビジネスを変革することである点です。
これら「成長と変革」「効率化とコスト最適化」は企業の成功に必要な両輪です。成長と変革に特に直結するAIやクラウド、データ基盤整備などに取り組むためには、既存の業務やITの効率化とコスト最適化を行うことが変革全体の促進につながる確実な方法であると考えます。当社はこれを、標準化などの独自の手法やオフショアのリソースにより拡張できるデジタルマネージドサービスで実現します。これらをコンサルティングチームが、製品ベンダー中立の立場で組み合わせて提案しています。そして、当社のサービスの基盤でもあり最大の強みである「ハイブリッドデリバリーモデル」。日本固有のビジネス・IT環境を深く理解したオンサイト、TCSがグローバルで培った豊富な知見を引き出すオフショア、それぞれのプロフェッショナルが協働するこの体制と仕組みこそが、私たちの日本におけるビジョン「Gateway to Globalization」「Catalyst for Technology-led Business Innovation」を体現しています。
2025年も、全方位でお客さまの変革実現を支えていきます。
今年4月には、約300名の新入社員が仲間になります。その一部や若手社員は、半年間、インド・JDCでのOJT(on-the-job training)であるGurukul(グルクル)に参加します。日本のメンバーが技術だけでなくインドの開発現場の理解を深めることで、グローバルの知見を活用したプロジェクトマネジメントを習得し、グローバルとローカルの力でお客さまに価値を届けるプロフェッショナルを育成します。
また、お客さまとの対話をより深めることを狙い、今春には西日本支社のリニューアルオープンも予定しています。西日本のお客さまにもより一層当社の価値に触れていただける機会を増やしていきますので、ぜひお立ち寄りください。
お客さまの成功は、当社のビジネスを形作る礎であり、これなしには当社は存在しません。私たちは、業界最高水準のソリューションとテクノロジー、コンサルティング力、確実な実行力、そしてお客さまとそのIT子会社との強い連携で、社員一同、お客さまの成長と変革に引き続き尽力してまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
代表取締役社長
サティシュ ティアガラジャン