TCS、2023年度は堅調な受注と
通常硬貨ベース13.7%の成長で需要回復
- 過去最高の受注: TCVは当年度341億ドル、当期100億ドル、大型案件が過去最多
- 当年度売上高: 279.27億ドル、前年比8.6%増(通常硬貨ベース:13.7%増)
- 北米(15.3%増)、英国(15%増)、インド(14.6%増)が成長を牽引
- 営業利益率: 24.1%、純利益率: 18.7%
- 純利益: 52億19万ドル、前年比1.6%増
- K. クリティヴァサン(K. Krithivasan)が2023年6月1日付でCEO(最高経営責任者) 兼 マネージングディレクター(MD)に就任予定
* 本プレスリリースの日本語和訳では、会計年度表示を本社(インド)に合わせた表記としています。 (例:2023年3月31日を末とする会計年度は「2023年度」となります)
このページは、2023年4月12日(現地時間)、インド・ムンバイで発表されたプレスリリースの日本語訳です。発表内容の詳細は原文をご覧下さい。
▶ 原文は こちら
ムンバイ、2023年4月12日: ITサービス、コンサルティング、ビジネスソリューション企業であるタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、Ind AS(インド会計基準)およびIFRS(国際財務報告基準)に基づき、2023年3月31日を末日とする四半期の連結決算を発表しました。
2022-2023年度 通期 業績ハイライト
- 顧客関連: 1億ドル超規模の顧客: 60社(前年比2社増)、5,000万ドル超規模の顧客: 133社(前年比13社増)、2,000万ドル超規模の顧客: 291社(前年比23社増)、1,000万ドル超規模の顧客: 461社(前年比22社増)、1,000万ドル以下規模の顧客: 1,241社(前年比59社増)
- 従業員関連:
- 純増数:2万2,600人
- 総従業員数: 61万4,795人
- ダイバーシティ:従業員の国籍は150か国、女性従業員は35.7%
- ITサービス部門の離職率:20.1% LTM
- 人材開発関連
- 600万のデジタルスキルを獲得
- 「コンテクスチュアルマスター(Contextual Masters)」の認定者数が6万2,000人を突破
- フリーキャッシュフロー: 51億ドル
- 1 株当たり配当額(提案額): 24 ルピー
- 57億ドルを 配当として株主に還元
2023年度 第4四半期 業績ハイライト
- 売上高: 71.95億ドル、前年同期比7.4%増(通常硬貨ベース: 10.7%増)
- 英国(17%増)、小売・消費財(13%増)、ライフサイエンス&ヘルスケア(12.3%増)が成長を牽引
- 営業利益率: 24.5%、純利益率: 19.3%
- 純利益: 13億8,500万ドル、前年同期比5.4%増
- 堅調なキャッシュコンバージョン:営業キャッシュフローは純利益の104.1%
- 従業員純増数: 821人
TCS CEO(最高経営責任者) 兼 マネージングディレクターのラジェシュ・ゴピナタン(Rajesh Gopinathan)は、次のように述べています。
「昨年の10%台半ばの成長に加え、2023年度も力強い成長を遂げたことに、非常に満足しています。受注高も、当社のサービスに対する需要が回復していることを示しており、中期的成長への展望が良好であることを表しています。後任のK. クリティヴァサン(K. Krithivasan)と私は、今後数ヶ月間の経営陣の交代がすべてのステークホルダーにとって円滑かつシームレスに行われるよう、また、TCSが今後の機会を捉えるのにふさわしい状態にあるよう、緊密に連携しています」
TCS COO(最高業務執行責任者) 兼 エグゼクティブディレクターのN.ガナパシー・スブラマニアム(N. Ganapathy Subramaniam)は、次のように述べています。
「第4四半期および昨年度通年にわたり、さまざまな規模の変革プログラムを成功裏に完了しました。クラウドとデータが、社内では人材において、社外ではソリューションにおいて大きな需要を生み出し続けています。私たちは、AIや機械学習(ML)を総合的に手法に取り入れ、数十年にわたるデリバリー実績の膨大なデータや指標を活用し、インサイトを生み出し、お客さまに対する品質とエクスペリエンスの水準を高めています」
TCS CFO(最高財務責任者)のサミール・セクサリア(Samir Seksaria)は、次のように述べています。
「2023年度は、供給側の状況が好転するとともに、パンデミックにより落ち込んだ旅行や裁量的経費も正常化し、転換期を迎えた年でした。私たちは、人材、研究開発、知的財産への投資を減速させることなく、この変化をうまく乗り切りました。長期的な競争力を維持し、成長を追求しながらも、業界トップクラスの収益性を実現しています」
TCS 人事部門グローバルヘッドのミリンド・ラカド(Milind Lakkad)は、次のように述べています。
「TCS全体の成長に採用チームは著しく貢献しました。採用の規模を迅速に拡大し、極めて優秀な人材を採用し、TCSがデリバリーの要求に応え、成長を達成するのに寄与しました。すべての内定者を採用し、2023 年度に 2万2,600 人の従業員純増数を達成しました。この1年間で、4万4,000人以上の新入社員と、過去最高の人数の経験豊富なプロフェッショナルが入社しました。また、有機的な人材育成にも力を入れ、1年間で5万3,000人以上がクラウド認定資格を取得するとともに、ハイパースケーラーのプラットフォームで認定された従業員も11万人以上になりました。これにより、最大手クラウドプロバイダーのパートナーとしてトップ2に入ることができました」
第4四半期および当年度の部門別ハイライト**
**恒常通貨ベースの成長、前四半期比
産業分野別: 小売・消費財(13%増)、ライフサイエンス&ヘルスケア(12.3%増)が成長を牽引し、他の部門も1桁台の成長を記録しました。テクノロジー・サービス(9.2%増)、銀行・金融・保険(9.1%)、製造(9.1%増)、通信・メディア(5.3%増)でした。
通年ベースでは、小売・消費財(19.7%)、通信・メディア(14%)が成長を牽引しました。その他の部門もすべて、全社平均周辺の成長を記録しました。テクノロジー・サービス(13.7%増)、ライフサイエンス&ヘルスケア(13.3%増)、製造(13%増)、銀行・金融・保険(11.8%増)でした。
市場別: 英国(17%増)、北米(9.6%増)が成長を牽引し、欧州(8.4%増)も成長しました。新興市場では、ラテンアメリカ(15.1%増)、インド(13.4%増)、中東・アフリカ(11.3%増)、アジア太平洋(7.5%増)が成長しました。通年ベースでは、主要市場では北米(15.3%増)、英国(15%増)、欧州(11%増)が成長しました。新興市場では、ラテンアメリカ(17.3%増)、インド(14.6%増)、中東・アフリカ(7.8%増)、アジア太平洋(7.6%増)が成長しました。
サービス分野別: 厳しい環境の中、顧客は慎重に支出を調整し、コストの最適化、ベンダーの統合、自動化の取り組みを優先させました。航空機内における技術革新の取り組みに引き続き投資が行われましたが、それはより早く、より高いROI(投資収益率)を期待してのものでした。クラウド、サイバーセキュリティ、エンタープライズアプリケーションサービス、コグニティブビジネスオペレーションズが成長を牽引しました。
- コンサルティング&サービスインテグレーション(C&SI): 企業は、モダナイゼーションプログラムを搭載し、サプライチェーンやカスタマーエクスペリエンス(CX)に変革をもたらす、クラウド上の最新のアプリケーションプラットフォームへの投資を続けています。Salesforce(セールスフォース)、Oracle(オラクル)、ServiceNow(サービスナウ)、Digital Integration(デジタルインテグレーション)を中心としたサービスが成長を牽引しました。TCS Crystallus(クリスタラス)™上に構築された事前構成済みの業界ソリューションが、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、高いビジネス価値を提供してTCSのポジション確立に貢献しました。お客さまは、自動化、正確性、企業姿勢の可視化に重点を置いた、企業セキュリティの総合的なサービスアプローチを求めています。Eコマース、DevOps*、各プロセスにおけるプライバシー保護の強化は、急速に進化しています。TCSのPrivacy-by-Design(プライバシーバイデザイン)のフレームワークとCyber Defense(サイバーディフェンス)の製品群は、世界のお客さまに支持されています。マネージドセキュリティサービス、IAM(Identity and Access Management: IDとアクセス管理)、ガバナンス、リスク&コンプライアンスサービスが好調に推移しました。
*DevOps(デブオプス): 開発(Development)と運用(Operations)のチームが相互に協調し、開発・運用するソフトウェアやシステムによりビジネス価値を高めるだけでなく、その価値を確実かつ迅速にエンドユーザーに届け続けること。
- クラウドプラットフォームサービス:ユーザーエクスペリエンス(UX)とビジネスソリューションの向上を目的としたアプリケーションとデータのモダナイゼーションが好調で、あらゆる業界で堅調な成長を見せました。クラウド導入への注目が高まる中、企業はモジュール型のエンタープライズアプリケーションに注目し、モダナイゼーションへの道のりを加速させています。お客さまは、ハイブリッドクラウド基盤上でAI、ML、データ、クラウドネイティブを活用するとともに、より強固なクラウドガバナンスやFinOps*を採用することで、クラウドへの投資から得られる価値を最大化しています。
*FinOps(フィンオプス): 「Finance」と「DevOps」を合わせた造語。クラウド支出の最適化をデータに基づいて行う部門横断型の運用モデル。コストの最適化とビジネス価値の最大化の実現を支えるテクノロジーも含まれる。
- コグニティブビジネスオペレーション(CBO):効率性とレジリエンス向上を目的として、お客さまが戦略的パートナーシップによるサービス統合に注力したことで、ベンダー統合と合理化の流れが継続しました。TCS Cognix(コグニクス)™が、スループット、精度、UXを向上させ、オペレーション変革におけるゲームチェンジャーとして認知されるようになりました。Cognixは、当四半期において複数の大型案件の獲得につながりました。当四半期の成長は、エンドツーエンドのインフラストラクチャ&ネットワークサービス、デジタルF&A(ファイナンス&アカウンティング)、ERP(統合基幹業務システム)管理、MFDM™(マシンファーストデリバリーモデル™)が牽引しました。
主な契約案件
- TCSは、SAS(スカンジナビア航空)との10年の長きにわたるパートナーシップを延長し、新事業計画「SAS-FORWARD」のもと、2028年までビジネスの変革を続けます。TCSは、SASと協働し、クラウドネイティブサービスの採用による事業全体の簡素化を継続し、より迅速な市場投入を実現していきます。TCSは、業界をリードする実績を駆使し、チーム力と絶えないイノベーションの文化を推進し、優れた顧客体験(CX)を提供できるよう支援します。
- 世界有数のホテルチェーンであるIHG Hotels & Resorts(IHGホテルズ&リゾーツ)より、財務、旅行代理店手数料、収益性とコンプライアンス&監査、税務、営業、人事にわたるエンタープライズプロセスの自動化を推進するパートナーに選ばれました。本プログラムは、レガシーなプロセスをデジタル化・自動化し、企業全体の効率化とコストの最適化を推進することを目的としています。
- 北米の電力会社であるENMAX Corporationより、請求書作成とカスタマーケアのプロセスを近代化するためのパートナーに選ばれました。TCSは、ERPやクラウドプラットフォームのパートナーエコシステムも含め、TCS ConvertCore(コンバートコア)を駆使し、先進的なクラウドERPのデジタルコアを実現します。これによりUXが向上し、システムのレジリエンスが一段階向上し、DXのための基盤が整うことになります。
- 航空業界のグローバルリーダーであるBombardier(ボンバルディア)より、俊敏性強化を目的としたITおよびデジタル変革の主要戦略パートナーに選ばれました。TCSは、先進的なERPプラットフォーム上に、独自の統合的なライフサイクル管理システムを構築します。この新しい最先端のシステムにより、BombardierはIT運用計画を変革し、イノベーションを実現し、AIおよびML、データ、クラウドサービスを最大限に活用することが可能になります。
- TCSは、SIA(シンガポール航空)との20年以上にわたる長年のパートナーシップをさらに強化し、AIおよびMLの相乗効果による効率化を目指して、SIAとアプリケーションのメンテナンスとサポートの複数年契約を締結しました。これにより、SIAのデジタル基盤強化をサポートし、CXの向上と業務の効率化を実現します。
- グローバル企業であるBayer(バイエル)により、顧客、従業員、パートナーにシームレスな「ONE Bayer」体験を提供することを目的とした戦略的プログラム「#CORE」を推進するパートナーに選ばれました。このプログラムは、バイエルの全部門(クロップサイエンス、医療用医薬品、コンシューマーヘルス)が一体となって、ビジネスプロセスおよびシステムのエンドツーエンドの変革を推進する、ビジネス主導でITを活用した複数年にわたるグローバルプログラムです。
リサーチ&イノベーション
2023年3月31日現在、TCSは当四半期に出願した171件を含め、7,305件の特許を出願中で、当四半期に取得した184件を含め、これまでに2,878件の権利を取得しています。
人材関連
2023年3月31日現在、総従業員数は61万4,795人で、第4四半期の従業員純増数は821人、通年ベースでは22,600人でした。従業員は、引き続き若く、多様性に富み、その出身地は150カ国にわたります。女性従業員比率は35.7%でした。
2023年度の従業員の学習時間は4,830万時間を記録し、600万近いデジタルスキルを獲得しました。より多くの従業員がオフィスに戻る中、高い学習効果を得るために、よりフィジタルなアプローチを研修に取り入れています。第4四半期だけで、8万人以上の従業員が対面でのトレーニングを受けました。
ITサービスの離職率はLTMベースで引き続き減少傾向にあり、20.1%となりました。
受賞歴
ビジネスリーダーシップ関連
- Fortune®(フォーチュン)誌の「World's Most Admired Companies 2023(2023年世界で最も賞賛される企業)」に選出されました。
- 独立調査機関: Whitelane Research(ホワイトレーンリサーチ)による欧州のトップIT先進企業の1,800人以上の経営層への顧客満足度調査において、ITサービスプロバイダーとして10年連続で首位を獲得しました。さらに、国別では、フランス、ドイツ、北欧の各国で当四半期に1位になりました。
- 従業員数1,000人以上の米国企業に勤める従業員4万5,000人を対象とした独自の調査に基づき、毎年Forbesが発表する「America's Best Large Employers(米国最優秀大企業)」に選出されました。
- Top Employers Instituteにより、「Global Top Employer 2023(2023年グローバルトップ企業)」に認定されました。
- 11年連続で欧州の「Top Employer」に認定され、ベルギー、デンマーク、オランダでは「Number One Top Employer」に認定されました。
- UAE(アラブ首長国連邦)、サウジアラビア、南アフリカで、8年連続で「Top Employer」に認定されました。
- 「2023 Stevie® Awards for Sales & Customer Service」で、銀行・金融・保険業界を対象としたソリューションが、5つの部門で「 Stevie®(スティービー®)」を受賞しました。
- TCSとVirgin Media O2が、クラウドネイティブでレジリエント、かつ将来を見据えたITインフラを実現した技術変革が評価され、「GSA Professional Award 2022」の「Customer Experience Team of the Year(カスタマーエクスペリエンスチームオブザイヤー)」部門を受賞しました。
- 「2022 The Economic Times Human Capital Awards(エコノミックタイムズ人材アワード)」において、TCS Purpose4Lifeの「Sadhana SamarpaN」の取り組みが、「Excellence in Social Initiative(優れた社会的取り組み)」部門で金賞を受賞しました。
イノベーションおよび知的財産関連
パートナーシップ関連
- お客さまとの強い信頼関係を築き、ビジネス成功に貢献したことが評価され、「Microsoft Customer Success Partner of the Year」に認定されました。
- Yellow.aiが初開催した「Virtual Partner Success Kickoff」で2つの賞を受賞しました:「Industry Partner of the Year – North America(業界パートナーオブザイヤー-北米部門)」、およびTCS BaNCSが「Digital Transformation Award(デジタルトランスフォーメーションアワード)」を受賞。
- 「SAP BeLux Partner Awards」において、SAPとの強力なパートナーシップ、およびDXとビジネスプロセスの最適化に対する継続的な取り組みが評価され、「SAP System Integrator BeLux 2022」を受賞しました。
- Siemens(シーメンス)より、2022年度の「Highest Enterprise Sales Achievement(エンタープライズセールス最高功績賞)」を受賞しました。
- Infomatica(インフォマティカ)の「Growth Global System Integrator Partner of the Year 2022」に認定されました。
- Quadientより、「Inspire Days 2023」で2つのパートナー賞を受賞しました:「Services Partner of the Year – Americas( サービスパートナーオブザイヤー-米国)」、「Breakthrough Partner of the Year – EMEA(ブレイクスルーパートナーオブザイヤー-欧州・中東・アフリカ)」。
- Software AGより、「EMEA IoT Partner(欧州・中東・アフリカ地域 IoTパートナー)」、「EMEA hybrid Integration Partner(欧州・中東・アフリカ地域ハイブリッドインテグレーションパートナー)」、「Global Hybrid Integration Partner」の3つのパートナーアワードを受賞しました。
- Saviynt(セイヴィエント)より、アジア太平洋地域の「Delivery Partner of the Year」賞に選ばれました。
以上