TCS、第2四半期は力強い収益の成長と大型案件の受注を達成
- 取締役会は20億4,700万ドル、1株当たり49.96ドルの買い戻しを発表
- 売上高は72億1,000万ドル、前年同期比4.8%増、通常硬貨ベースで2.8%増
- 英国(前年同期比 10.7%増)、エネルギー・ 資源・公共(14.8%増)、製造(5.8%増)が成長を牽引
- 営業利益率の向上がEPS(1株当たり利益)の成長に寄与(前年同期比 5.7%増)
- 受注額: 112億ドル、出荷額に対する受注額の割合は1.6
- 生成AIの専門性を備えた人材: 10万人
* 本プレスリリースの日本語和訳では、会計年度表示を本社(インド)に合わせた表記としています。 (例:2024年3月31日を末とする会計年度は「2024年度」となります)
このページは、2023年10月11日(現地時間)、インド・ムンバイで発表されたプレスリリースの日本語訳です。発表内容の詳細は原文をご覧下さい。
▶ 原文は こちら
ムンバイ、2023年10月11日: ITサービス、コンサルティング、ビジネスソリューション企業であるタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、Ind AS(インド会計基準)およびIFRS(国際財務報告基準)に基づき、2023年9月30日を末日とする四半期の連結決算を発表しました。
2023年9月30日を末日とする四半期の業績ハイライト
- 売上高: 72億1,000万ドル、前年同期比4.8%増
- 通常硬貨ベースの売上成長率: 前年同期比2.8%増
- 営業利益率: 24.3%、前年同期比0.3%増
- 純利益: 13億7,000万ドル、前年同期比5.6%増、純利益率19%
- フリーキャッシュフロー: 14億2,700万ドル、純利益の104.2%
- ダイバーシティ&インクルージョン: 女性従業員比率は35.8%、従業員の国籍構成は152カ国
- 人材への投資: 学習時間は現時点で2,640万時間を記録、260万の専門スキルを獲得
- ITサービス部門の離職率: 14.9% LTM
- 一株当たり配当額: 9.00ルピー (基準日は2023年10月19日、支払日は2023年11月7日)
TCS CEO(最高経営責任者)兼マネージングディレクターのクリティ・クリティヴァサン(K. Krithivasan)は、当四半期の事業を振り返り、次のように述べています。
「お客さまは引き続きTCSを信頼し、主要な新規技術に関する取り組みや、ITおよびビジネス運用モデルのデジタル化のための大規模なプロジェクトをTCSに委託しています。堅調な取引実績により、当期の受注高は非常に大きく、TCVは四半期ベースでは過去2番目の高水準となり、受注パイプラインも充実しています。TCSのサービスに対する需要の回復、長期的なプロジェクトに対するお客さまの前向きな姿勢、生成AIやその他の新規技術導入に対するお客さまの意欲が、TCSの長期的な成長への見通しを確固たるものにしています」
TCS COO(最高業務執行責任者)兼エグゼクティブディレクターのN.ガナパシー・スブラマニアム(N. Ganapathy Subramaniam)は、次のように述べています。
「TCSは、人材と新規技術への投資に引き続き注力しています。現在、約10万人の生成AIの専門知識を有するコンサルタントとプロンプトエンジニアを擁し、幅広い業界のお客さまの生成AIに関する数百のプロジェクトに従事しています。当期は、BSNL(インド国営の携帯電話事業者)より、TCSは最新のインド全土を網羅する4G・5Gのモバイルネットワークを統合・展開するプロジェクトも受注しました。これはTCSにとって大きなマイルストーンであり、3GPP基準に見合う要件を満たしつつ、モバイルネットワークの供給、計画、設計、設置、試験運用、最適化に向けて取り組んでおり、今後1年半以内に本格展開する見通しです」
TCS CFO(最高財務責任者)のサミール・セクサリア(Samir Seksaria)は、次のように述べています。
「従業員の稼働率向上に注力し、組織全体で生産性向上とコスト効率化を推進した結果、営業利益率は24.3%に伸長しました。引き続き、成長、効率、イノベーションを加速させ、さらなる収益性の向上を図ります。株主に配慮した資本配分方針に従い、取締役会は、1株当たり49.96ドルで、20億4,700万ドルの自社株買いを推奨しています」
TCS CHRO(最高人事責任者)のミリンド・ラカド(Milind Lakkad)は、次のように述べています。
「優秀な人材を積極的に採用し、適切なスキルを獲得するための学習に投資するTCSの戦略が成果を上げています。優秀な人材が加わり、離職者が減少したことで、当期の従業員純増数を再調整することができました。離職者数は低水準を維持し、生産性を向上させ、プロジェクトの成果を高めることができました」
当四半期の部門別ハイライト**
**恒常通貨ベースの成長
産業分野別: エネルギー・資源・公共(14.8%増)、製造(5.8%増)、ライフサイエンス&ヘルスケア(5%増)が成長を牽引しました。その他は、消費者向けビジネス(1%)、銀行・金融・保険(0.5%減)、コミュニケーション&メディア(2.1%減)、テクノロジーサービス(2.2%減)となりました。
市場別:主要市場のうち、英国(10.7%増)、北米(0.1%増)、欧州(1.3%増)が成長を牽引しました。新興市場では、中東・アフリカ(15.9%増)、ラテンアメリカ(13.1%増)、アジア太平洋(4.1%増)およびインド(3.9%増)が伸長しました。
サービス分野別: お客さまは引き続きAIの革新的な活用方法を模索しつつも、ビジネスの俊敏性とコスト最適化に優先的に取り組んでいます。また、運用モデルの変革、ベンダーの統合、「エンタープライズIT アズアサービス(サービスとしてのエンタープライズIT)」にも注力しています。サービス分野としては、AI.Cloud、TCSインタラクティブ、IoT&デジタルエンジニアリングが成長を牽引しました。TCSは、業界横断的な豊富なユースケース、ハイパースケーラーとの早期導入パートナーシップ、10万人の生成AIに関する専門知識を備えた人材により、250以上もの生成AIに関するパイプラインを持っています。
- AI.クラウド: 当期に発足したこの部門は、TCSの3つのハイパースケーラー専門のクラウド部門と、データサイエンスとAI&機械学習のスペシャリストを備えています。クラウド移行、統合データ基盤、アプリケーションのモダナイゼーション、職場の変革、エッジ・トゥ・クラウド(エッジとクラウドの連携)が、AI導入のフレームワークとも相まって、当期の成長を牽引しました。コンピテンシーの強化とケイパビリティの構築への投資も引き続き成果を上げています。またTCSは、生成AIなどさまざまな新規技術の立ち上げにおいて、ハイパースケーラーのローンチパートナーとなっています。TCSの生成AIについてのユースケースは、あらゆる業界や業務領域で拡大が続いています。
- TCSインタラクティブ: エクスペリエンス主導の変革やマーケティング向上に対するお客さまの投資により、デジタルインタラクティブサービスが引き続き力強い成長を見せました。製品設計、マーケティング活動、データに基づいた顧客やマーケティングに関するインサイトなどの分野で需要の増加が見られました。さらに、生成AIを活用したカスタマーエクスペリエンス(CX)に関する実験的な取り組みも行いました。
- IoT&デジタルエンジニアリング: TCSの産業用IoT&AI、未来の工場、カーボンフットプリント管理、ソフトウエア定義型自動車などのソリューションに対する需要が成長を牽引しました。当期に発表された競争力評価では、TCSは2023年のエンジニアリングサービスプロバイダーの首位にランクされ、Everest Groupによる2023年の「Digital Twin services PEAK Matrix®(デジタルツインサービスPEAK Matrix®)」評価ではトップリーダーの評価を獲得しました。
- サイバーセキュリティ: お客さまは、セキュリティコントロールの強化、セキュリティ運用の変革、自動化による脅威検知、クラウドセキュリティに注力しています。TCSのIDおよびアクセス管理(IAM)、アタックサーフェス管理、クラウドセキュリティなどの各サービスは、各市場で高い評価を得ています。
- エンタープライズソリューション: お客さまは、ビジネスモデルの変化やM&Aを背景に、ERPのモダナイゼーション、TCS Crystallus™(クリスタラス)の活用による市場投入時間の短縮、AIやローコードBPMツールの活用によるビジネスプロセスの自動化など、デジタルコアへの投資を継続しています。サステナビリティや顧客を中心に据えたビジネスモデルの導入により、エンタープライズアプリケーションや顧客エンゲージメントプラットフォームに対する投資が拡大しています。
- コグニティブビジネスオペレーション: 当期の成長は、ビジネスプロセスサービス、TCS Cognix™(コグニクス)を活用した運用モデルの変革、ベンダー統合、ビジネスの統合と IT 変革が牽引しました。また、当期には、戦略的マーケットインテリジェンスとサプライヤーのインサイト(サプライチェーン)、エンドツーエンドの人事改革、高度なファイナンシャルプランニングおよびアナリティクス(F&A)、「エンタープライズITアズアサービス(サービスとしてのエンタープライズIT)」といった変革領域で複数のお客さまと提携しました。AI、「サステナビリティアズアサービス(サービスとしての持続可能性)」、グローバルパートナーシップへの投資が引き続き拡大しました。
主な契約案件
- BSNLは、10万か所の通信基地を網羅する最新の4G・5Gモバイル通信インフラをインド全土に展開するため、パートナーとしてTCSを選びました。このプロジェクトでは、3GPPの定める基準に見合った詳細な要件を満たすモバイルネットワークの提供、計画、設計、設置、試運転、最適化が行われます。このソリューションは、信頼できるコンポーネントや機器の供給、高度なRF(ローリングフォーキャスト)計画、コグニティブなネットワーク運用を実現するエッジのインテリジェンス化、ソフトウェア無線、再設定などのニーズに対応しています。これは、インド政府が進めている通信技術と通信機器の国産化への取り組みの一環と位置付けられます。TCSはパートナーと共にEPCネットワーク、コアネットワーク、RAN(無線アクセスネットワーク)、NMS(ネットワーク管理システム)を統合し、ネットワーク展開を開始しました。今後1年半のうちに段階的に完了する予定です。
- 英国の高級車ブランドJLR(ジャガーランドローバー)は、事業全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるために、TCSとの戦略的パートナーシップを拡大しました。この提携の一環として、TCSはアプリケーション開発と保守、企業インフラ管理、クラウド移行、サイバーセキュリティ、データサービスなど、幅広いサービスを提供します。TCSは、新規技術を駆使してIT運用を変革し、新しい働き方を導入することで、JLRが将来を見据えたデジタルコアを備えた、より無駄がなくスケーラブルな運用モデルに転換するのをサポートします。
- オランダの生命保険および年金提供企業であるAthora Netherlandsにより、生命保険の*クローズドブックビジネスを変革するためのパートナーに選ばれました。TCSは、TCS Enterprise Cloud Platform(エンタープライズクラウドプラットフォーム)をベースに、将来を見据えたハイブリッドクラウドを構築します。コールセンターから保険契約管理まで、TCSは、保険契約のライフサイクルを通じて、ビジネスアプリケーションやビジネスプロセスサービスに対し、責任を持って全体的にサポートします。この変革を通じ、業務効率とカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上をもたらします。
*Closed Book: 新規に発売はされていないが、財務報告書に保険料収入が発生する契約として記載される保険契約。
- GEヘルスケアのグローバルIT部門と、DX推進のためのパートナーシップを結びました。TCSは、エンタープライズITアプリケーションの開発、保守、合理化、標準化を管理します。さらに、人工知能とデジタル技術を組み合わせた高度なソフトウェアエンジニアリングの手法を活用し、価値実現までの時間短縮と、運用面のレジリエンスや生産性の向上を実現します。この変革により、GE Healthcareは事業成長のための強固な基盤を構築し、イノベーションを推進し、160カ国以上で10億人を超える患者にインテリジェントなヘルスケアソリューションを提供することができるようになります。
- ASDAは、事業分割とDXのための複数年に渡るパートナーシップをTCSと結びました。このプログラムにより、TCSはASDAのDXをサポートし、ウォルマート社からの分割に伴って、新たな組織全体のIT運用モデルの導入を支援します。この戦略的パートナーシップを通して、TCSのクラウド、AI、セキュリティソリューションを活用し、ASDAが分割をスムーズ、オンタイム、かつ安全に実現できるよう支援します。TCSはさらに、ASDAがCXとイノベーションケイパビリティの強化により、市場シェアを拡大し、価格リーダーシップを維持できるようサポートします。
- インド政府から、政府eマーケットプレイス(GeM)プラットフォームを変革する戦略的パートナーに選ばれました。これは、GeMを世界トップクラスのプラットフォームへと転換・管理することを目的としています。本プロジェクトでTCSのイノベーション力と専門性を駆使して、成長と規模の拡大をもたらし、中小零細企業のインクルージョンを推進し、サプライチェーン運用を改善するためのデータ分析を強化し、豊かなユーザー体験を提供します。この新たなプラットフォームにより、政府は年間GMV(流通取引総額)を23年度の2兆ルピーから倍増させることを目指しています。
- 米国ジョージア州労働省は、1980年代のレガシープラットフォームから、実績がありアジャイル(俊敏)で安全、かつ拡張性の高いクラウドベースの失業保険システムに移行するためのパートナーとしてTCSを選びました。これにより、保険金請求プロセスを合理化・迅速化し、市民の利便性を向上させ、不正行為を防止します。
- 英国の国際的な教育機会提供機関であり文化交流機関であるブリティッシュカウンシルにより、財務、調達、人事、デジタルテクノロジーなどのプロフェッショナルサービスの変革のパートナーに選ばれました。TCSは、文脈的知識*、深い専門知識、および独自のプラットフォームを活用し、より革新的でユーザーフレンドリーなサービスの開発をサポートします。さらに、このパートナーシップにより、ブリティッシュカウンシルはサービスの質と効率の向上に注力できるようになり、顧客体験の向上にもつながります。
*Contextual Knowledge(コンテクスチュアル・ナレッジ): お客さまが置かれた様々な状況において適用すべき最適な知見 。
- TCSは、英国の大手総合サプライチェーンマネジメントサービス企業であるCulinaの戦略的パートナーに選ばれました。本契約の一環として、一元化され、簡素化された次世代ITプラットフォームを確立し、戦略的にビジネスを推進し、エンドユーザーエクスペリエンスを向上させ、クラウドファーストの運用モデルを確立し、レジリエントなサイバーセキュリティ運用を実現します。TCSは、TCS TCS Cognix™(コグニクス)のフレームワークとTCS MFDM™(マシンファーストデリバリーモデル)のオファリングを活用し、Culinaの成長計画を推進します。
リサーチ&イノベーション
2023年9月30日現在、TCSは当期に出願した218件を含め、7,665件の特許を出願中で、当期に取得した149件を含め、これまで3,153件の権利を取得しています。
人材関連
2023年9月30日時点で、TCSの総従業員数は60万8,985人となりました。これは、TCSが従業員の活用と生産性の向上に重点を置いていることを反映しています。従業員は引き続き多様性に富み、出身国は152カ国にわたり、女性従業員比率は35.8%となりました。従業員は現在までに2,640万時間の学習時間を記録し、獲得した専門スキルは、35万の需要の高いスキルを含め260万に達しました。ITサービス部門の過去1年の離職率は14.9% LTMでした。
受賞歴
ビジネスリーダーシップ関連:
- Kantar BrandZ(カンターブランドZ)の「Top 75 Most Valuable Indian Brand(インドで最も価値あるブランドトップ75)」ランキングで、インドで最も価値あるブランドに選ばれ、「Business Technology and Services Platforms(ビジネステクノロジー&サービスプラットフォーム)」部門で首位を獲得しました。
- 顧客企業であるGreat Southern Bankと共同で、「Celent Model Bank 2023 Award」の「Open Banking(オープンバンキング)」部門を受賞しました。
- 「Retail Systems Awards(小売システムアワード)」において、顧客企業であるマークス&スペンサー(Marks & Spencer)とのロイヤリティプラットフォームの共同開発により、「Retail Partnership of the Year Award 2023(小売業パートナーシップ・オブ・ザ・イヤー・アワード2023)」を受賞しました。
- レガシーシステムおよびエコシステムの変革が評価され、顧客企業であるAvivaと共同で「Celent Model Insurer of the Year Award 2023(セレントモデルインシュアラーアワード2023」を受賞しました。
- Dataquestより、「DQ Top 20 Awards 2023(DQトップ20アワード2023)」で首位を獲得しました。
- ブランド認知度の向上、ソートリーダーシップの発揮、多くの潜在顧客の開拓、および統合的なデジタルエンゲージメント戦略が高く評価され、ON24より「Digital Engagement Excellence Award 2023(デジタルエンゲージメント優秀賞2023)」を受賞しました。
パートナーシップ関連:
- 「Google Cloud Partner of the Year Awards 2023(Googleクラウドパートナー・オブ・ザ・イヤー2023)」において、以下の3部門を受賞しました:「Global Talent Development Partner of the Year(グローバル人材開発パートナー・オブ・ザーイヤー)」、「Industry Solution Services Partner of the Year - Financial Services & Insurance(業界ソリューションサービスパートナー・オブ・ザーイヤー-金融サービス・保険)」、および「Retail & Consumer Packaged Goods(小売・消費財)」の3部門
- Microsoftより、「Partner of the Year(パートナー・オブ・ザ・イヤー)」アワードの「Global Services: MVP Industry Solutions GSI/Advisory – India(グローバルサービス:MVP業界ソリューション・グローバルシステムインテグレーター/アドバイザリー-インド)」部門を受賞しました。
以上