堅調なクラウドへの需要と優れたオペレーションが第3四半期の好調に寄与
- 売上高は72億8,000万ドル、前年同期比で2.9%増、恒常通貨ベースで1.7%増
- 新興市場で堅調な2桁成長を記録、インド(23.4%増)が成長を牽引
- エネルギー・資源・公共(11.8%増)、製造(7.0%増)、ライフサイエンス&ヘルスケア(3.1%)が成長を牽引
- クラウド移行に関するトレンドの持続、AI・生成AIに対する関心の高まりから、「AI.クラウド部門」がTCSのサービスラインの需要を牽引
- 営業利益率: 50 BPS改善し25.0%*、純利益率:19.4%*
- 受注額: 81億ドル、出荷額に対する受注額の割合は1.1
このページは、2024年1月11日(現地時間)、インド・ムンバイで発表されたプレスリリースの日本語訳です。発表内容の詳細は原文をご覧下さい。
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ムンバイ、2024年1月11日: ITサービス、コンサルティング、ビジネスソリューション企業であるタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、Ind AS(インド会計基準)およびIFRS(国際財務報告基準)に基づき、2023年12月31日を末日とする四半期の連結決算を発表しました。
2023年12月31日を末日とする四半期の業績ハイライト
- 売上高: 72億8,000万ドル、前年同期比: 2.9%増、恒常通貨ベースで前年同期比: 1.7%増
- 営業利益率:25.0%*、前年同期比:0.5%増
- 純利益:14億1,000万ドル、前年同期比:7.0%*増、純利益率:19.4%*増
- フリーキャッシュフロー: 13億6,000万ドル、純利益の102%
- ダイバーシティ&インクルージョン: 女性従業員比率は35.7%、従業員の国籍構成は153か国
- 人材育成施策: 延べ学習時間は本年度初日から現在で3,970万時間、同期間に370万の専門スキルを習得
- ITサービス部門の離職率: 13.3% LTM
- 1株当たり配当額: 特別配当の18ルピーを含む、計27ルピー
(基準日は2024年1月19日、支払日は2024年2月5日)
*法的請求の和解に伴う一時費用1億2,500万ドルを除く
TCS CEO(最高経営責任者)兼マネージングディレクターのクリティ・クリティヴァサン(K. Krithivasan)は、当四半期の事業を振り返り、次のように述べています。
「マクロ経済の逆風による季節的に弱含みの四半期に好調な業績を達成できたことは、多様なポートフォリオとお客さま中心の戦略を擁するTCSのビジネスモデルの強さの証といえるでしょう。各市場の取引は非常に好調で、結果として受注残高は堅調に推移しており、長期的な成長の見通しは良好です。生成AIに大いに注力し、この分野におけるお客さまのイノベーションと先進的な取り組みをリードしています」
TCS COO(最高業務執行責任者)兼エグゼクティブディレクターのN.ガナパシー・スブラマニアム(N. Ganapathy Subramaniam)は、次のように述べています。
「当四半期は、多くの主要な国家プロジェクトで大きな進展が見られ、TCSの実力を発揮できました。TCSのプロダクトおよびプラットフォームは、新規プロジェクトの受注と稼働開始により、好調な四半期となりました。MCX(Multi Commodity Exchange of India:インドマルチ商品取引所)のプラットフォームは順調に拡大し、記録的な取引量を処理しています。また、BSNL(Bharat Sanchar Nigam Limited:インド最大の通信事業者)の4G/5G ネットワークの展開も順調に進んでいます。AIプレイグラウンド(社員が生成AIに安全にアクセスできるプラットフォーム)を通じて、社員の生成AIに関するスキルアップも順調に進んでいます」
TCS CFO(最高財務責任者)のサミール・セクサリア(Samir Seksaria)は、次のように述べています。
「ルールに則った厳格な運営により、季節的な逆風にもかかわらず利益率を業界最高水準まで大幅に改善できました。人材、イノベーション、インフラのそれぞれに、適切かつ継続的に投資することで、差異化を実現するとともに、あらゆるステークホルダーに向けて価値を創造し続けています」
TCS CHRO(最高人事責任者)のミリンド・ラカド(Milind Lakkad)は、次のように述べています。
「より多くの社員がオフィスに復帰し、職場の活気や社員の活力は高まっています。今年度末には通常の営業体制に回復する見込みです。これらに並行して、離職率も13.3%と低下傾向にあり、許容範囲内に収束しています。新卒採用に加え、有機的な人材育成にも注力しています。既に来年度の新卒採用を開始しており、TCSへの入社希望者数も増えています」
当四半期の部門別ハイライト**
**恒常通貨ベースの成長
産業分野別: エネルギー・資源・公共(11.8%増)、製造(7.0%増)、ライフサイエンス&ヘルスケア(3.1%増)が成長を牽引しました。消費者向けビジネス**(0.3%減)、銀行・金融・保険(3.0%減)、コミュニケーション&メディア(4.9%減)、テクノロジーサービス(5.0%減)となりました。
市場別: 主要市場のうち、英国(8.1%増)と欧州(0.5%増)が成長を牽引しました。北米は3.0%減でした。新興市場では、インド(23.4%増)が成長を牽引し、中東・アフリカ(16.0%増)、ラテンアメリカ(13.2%増)、アジア太平洋(3.9%増)も伸長しました。地域市場は19.2%増となりました。
サービス分野別: お客さまは引き続きコスト削減、ビジネスの俊敏性促進、サプライチェーン全体の回復力向上に優先的に取り組んでいます。TCSは、人材育成、独自のソリューション、アライアンスやパートナーシップの拡大に大きく投資し、お客さまのビジネス利益向上を支援しています。サービスラインでは、AI.クラウド、サイバーセキュリティ、コグニティブビジネスオペレーションが成長を牽引しました。
また、TCSの幅広いオファリングが、アマゾン ウェブ サービス(AWS)の「Global System Integrator Partner of the Year: Global(グローバルシステムインテグレーター(GSI)パートナー・オブ・ザ・イヤー: グローバル)」をはじめ、複数の世界的な賞を受賞しました。
- AI.クラウド: 当四半期には、クラウドプラットフォームの移行、モダナイゼーション、ビジネス変革の機会拡大への大きな需要が見られました。また、企業がクラウドと生成AIの両方がもたらすケイパビリティを活用しようとするのに伴い、クラウド上のデータ活用に対する需要も増加しました。生成AIに対する需要はあらゆる業界で拡大しており、業務拡張や体験のパーソナライゼーションのニーズに応えて、補完・支援的な役割を果たす生成AIのユースケースが成長を牽引しました。
当四半期は、AIに関する知見を強化するため「AI Experience Academy(AIエクスペリエンスアカデミー)」を立ち上げ、社員にさまざまなAI技術に関するイノベーションや実験の機会を提供しています。引き続き、ハイパースケーラーやその他の主要なAIテクノロジー企業との連携を強化していきます。
- サイバーセキュリティ: 当四半期に、この分野のサービスは、業種を問わず力強い伸びを示しました。お客さまは、引き続きIDおよびアクセス管理、セキュリティ運用、クラウド、データセキュリティに関する取り組みに注力しています。また、ポスト量子暗号、クラウド調査・対応自動化(CIRA)サービスも好調に推移しています。
- コグニティブビジネスオペレーション: 当四半期は、職場環境の変革やエンド・ツー・エンドのITインフラサービスなど、「TCS Cognix™(コグニクス)」を活用したビジネスやITインフラ業務全般に渡るデジタルトランスフォーメーションなどの案件が好調に推移しました。財務計画・分析、税務、法定報告、戦略的ソーシング、持続可能な調達といったハイエンドなサービスに継続して高い需要が見られました。企業の主なトレンドは、ベンダー統合、生成AI、従業員エクスペリエンスの向上でした。
- エンタープライズソリューション: お客さまは ERP のモダナイゼーションのため、デジタルコアへの投資を拡大しました。また、サプライチェーンの最適化、持続可能性、販売システムやサービスチャネル再構築のためのエンタープライズソリューションの導入を目的に、TCSとパートナーシップ契約を結びました。TCSは、変革をもたらすコンサルティング主導のアプローチで、「TCS Crystallus™(クリスタラス)」などの業界に特化した事前構成済みソリューションやイノベーションを活用し、お客さまの成長と変革への道のりを加速させています。また、アライアンスパートナーとの市場開拓にも継続して注力しています。
- IoT&デジタルエンジニアリング: 当四半期は、製造、コミュニケーション&メディア、消費者向けビジネス、エネルギー・資源・公共事業といった業界のお客さまとの間で良好な取引が行われました。お客さまは、OTTプラットフォームにおけるCX(顧客体験)の向上、5Gネットワークのパフォーマンスと耐障害性の強化、自律走行車プログラムの構築、Industry 4.0への投資強化を目的に、TCSのオファリングを選びました。TCSはまた、サプライチェーン関連の課題に対処するため、お客さまの製造業務の再委託をサポートしています。
- TCSインタラクティブ: 企業はTCS インタラクティブと提携し、イノベーション・ポートフォリオ、プロダクト・コンセプト、プロダクトおよびエクスペリエンスの設計、デリバリーの設計、プロダクトのエンジニアリング、サービス展開を含め、デジタル・エクスペリエンス、設計、および変革のための戦略強化に取り組んでいます。お客さまに向けてより大きな価値をもたらす先進的なサービスの提供に継続的に注力したことで、デジタル技術のエージェント(代理人)のような存在としての契約も締結できました。
主な契約案件
- オーストラリアの主要証券取引所 ASX(Australian Security Exchange)は、オーストラリア市場向けの次世代型清算・決済プラットフォームを提供するために、TCSとパートナーシップ契約を結びました。TCSは、主力製品である「TCS BaNCS™ for Market Infrastructure(金融市場インフラ向け)」を活用し、ASXの現物株式清算・決済のための既存のプラットフォームを刷新し、変革を実現します。
- ノルウェー・オスロのムンク美術館(Munch Museum)とパートナーシップ契約を結び、世界中から訪れる来館者向けに、没入型のインタラクティブな描画体験を創造します。「TCS Research(TCSリサーチ)」の技術者が、AIと機械学習の専門的知見を活用し、デジタルの力で画家ムンク(Edvard Munch)の作品や創作過程に命を吹き込みます。さらに、TCSは、アートの未来に触れることができる没入型の博物館体験を創造するための、ITコンサルティング、共同ワークショップ、人材交流も提供します。
- オーストラリアの大手通信会社TPGテレコム(TPG Telecom)は、TCSを技術変革の戦略パートナーに選びました。TCSは、システムインテグレーターおよびテクノロジーパートナーとしてTPGテレコムと緊密に連携し、社内システムやプラットフォームの簡素化と合理化、カスタマージャーニーやプロダクトの強化、およびデジタル化の推進に取り組みます。これにより、TPGテレコムは、オーストラリアで最も優れたデジタル通信事業者として、エンドユーザーに高価値の接続サービス提供をすることを目指します。
- 英国のVirgin Media O2から、近代的かつ未来型のデジタルワークプレイス構築のための変革パートナーに選ばれました。長期的なパートナーシップの一環として、TCSは自動化とセルフヘルプ機能を備えたソリューションを構築し、統一的で優れた従業員エクスペリエンスを提供します。
リサーチ&イノベーション
2023年12月31日現在、TCSは当期に出願した187件を含め、7,852件の特許を出願中で、当期に取得した305件を含め、これまで3,458件の権利を取得しています。
人材関連
2023年12月31日時点で、TCSの総従業員数は60万3,305人となりました。
従業員は引き続き多様性に富み、出身国は153カ国に渡り、女性従業員比率は35.7%となりました。
さらに、従業員は現在までに3,970万時間の学習時間を記録し、獲得した専門スキルは、51万5,000の需要の高いスキルを含め370万に達しました。ITサービス部門の過去1年の離職率は13.3% LTMでした。
受賞歴
- アマゾン ウェブ サービス(AWS)の「GSI Partner of the Year 2023 – Global (GSIパートナー・オブ・ザ・イヤー:グローバル)」およびAWSの「AWS GSI Partner of the Year 2023 - France (GSIパートナー・オブ・ザ・イヤー:フランス)」を受賞しました。
- 2023-2024年度「Microsoft Business Applications Inner Circle(マイクロソフト ビジネスアプリケーション インナーサークル)」を4年連続で受賞しました。
- マイクロソフト(Microsoft)より、2023年「Customer Success Partner of the Year(カスタマーサクセス パートナー・オブ・ザ・イヤー)」アワードを受賞しました。
- 2023年「Brandon Hall Group Technology Excellence Awards(ブランドンホールグループ テクノロジーエクセレンスアワード)」で7つの金賞を受賞しました。
- インフォメーションサービスグループ(ISG)より、最高水準の顧客サービスを安定して提供してきたことが評価され、2023年度「Star of Excellence Award(スターオブエクセレンス賞)」を受賞しました。
- Whitelane Research(ホワイトレーンリサーチ)の調査において、スペインのITおよびクラウドサービスプロバイダーの中で、サービス提供における顧客満足度で首位になりました。
- 「Diversity in Tech Awards 2023(2023年ダイバーシティインテックアワード)」において、全従業員に前向きで生産的な職場環境を継続的に提供するために職場内のウェルネスに注力した企業として、「Health & Wellness Award(健康と幸福賞)」を受賞しました。
- 世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization: WIPO)より、2023年「National Intellectual Property Award(国家知的所有権賞)」の「National Award for Enterprises(国内企業賞)」を受賞しました。
- 「IMC 2023 Awards」で、「Best Made in India Telecom Innovation(インドの電気通信分野におけるイノベーション最優秀賞)」を受賞しました。
- コーポレートアクション(有価証券発行企業の財務上の意思決定)における「TCS BaNCS™(TCSバンクス)」の活用が評価され、2023年「Financial Technologies Forum (FTF) News Technology Innovation Award(金融テクノロジーフォーラム(FTF)ニューステクノロジーイノベーションアワード)」の「Best Corporate Actions Provider(ベスト・コーポレート・アクション・プロバイダー)」部門を受賞しました。
- 「TCS ADD™ Metadata Repository(メタデータリポジトリ)」が、2023年「India Pharma Awards」において「Excellence in Ancillary Pharma Services(製薬のアンシラリーサービス)」部門と「Excellence in use of Technology(テクノロジー活用)」部門の2つの賞を受賞しました。
以上