TCS、記録的な受注と堅調な利益率により2024年度を好調な業績で締めくくる
- 過去最高の受注: TCVは当年度427億ドル、当期132億ドル
- 当年度売上高290.8億ドル、前年比4.1%増(恒常通貨ベース:3.4%増)
- 英国(10.1%増)、「その他の産業分野」(19.8%増)が成長を牽引
- 産業分野別では、エネルギー・資源・公共(12.6%増)、製造(7.3%増)、ライフサイエンス&ヘルスケア(4.8%増)が成長を牽引
- 営業利益率:24.6%*、純利益率19.3%*
- 受注額56.2億ドル *、前年比7.8%*増
このページは、2024年4月12日(現地時間)、インド・ムンバイで発表されたプレスリリースの日本語訳です。発表内容の詳細は原文をご覧下さい。
▶ 原文は こちら
ムンバイ、2024年4月12日: ITサービス、コンサルティング、ビジネスソリューション企業であるタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、Ind AS(インド会計基準)およびIFRS(国際財務報告基準)に基づき、2024年3月31日を末日とする四半期の連結決算を発表しました。
2023-2024年度 通期 業績ハイライト |
2024年度 第4四半期 業績ハイライト |
顧客関連:
- 1億ドル超規模の顧客: 62社(前年比2社増)
- 5,000万ドル超規模の顧客: 139社(6社増)
従業員関連:
- 総従業員数: 60万1,546人
- ダイバーシティ:従業員の国籍は152か国、女性従業員は35.6%
- ITサービス部門の離職率:12.5% LTM
人材開発関連:
- 500万のデジタルスキルを獲得
- 「コンテクスチュアルマスター( Contextual Masters)」の認定者が7万3,000人を突破
フリーキャッシュフロー: 53億ドル
株主配当額:配当と自社株買いで56億ドル
|
- 売上高: 73.60億ドル、前年同期比2.3%増(恒常通貨ベース: 2.2%増)
- インド(37.9%増)、英国(6.2%増)、製造(9.7%増)が成長を牽引
- 営業利益率:26.0%、前年同期比150bps(ベーシスポイント)拡大
- 純利益率:20.3%、前年同期比100bps拡大
- 純利益:15億ドル、前年同期比8.0%増
- 堅調なキャッシュコンバージョン:営業キャッシュフローは純利益の100.4%
- 1株当たり配当額(提案額): 28ルピー
|
TCS CEO(最高経営責任者)兼マネージングディレクターのK. クリティヴァサン(K. Krithivasan)は、次のように述べています。
「過去最高の受注高と26%の営業利益率で、第4四半期および24年度を好調のうちに終えることができたことを大変喜ばしく思います。TCSのビジネスモデルの有効性と、卓越した実行力を証明できたことをとても嬉しく思っています。世界全体の情勢が不透明な中、今後も引き続きお客さまに寄り添い、TCS製品のポートフォリオ、イノベーション力、ソート・リーダーシップを発揮して、お客さまの最重要課題への取り組みを支援してまいります」
TCS COO(最高業務執行責任者)兼エグゼクティブディレクターのN.ガナパシー・スブラマニアム(N. Ganapathy Subramaniam)は、次のように述べています。
「第4四半期は堅調な業績を達成し、業界や地域を問わず幅広い受注を獲得しました。当社の製品・プラットフォームは、Aviva(アビバ)社の大規模プロジェクト受注をはじめとする優れた業績を達成し、新興市場においても、TCSの多様なポートフォリオが力を発揮し、素晴らしい成長を遂げた四半期となりました」
TCS CFO(最高財務責任者)のサミール・セクサリア(Samir Seksaria)は、次のように述べています。
「2024年度は、秩序ある事業運営により、業界をリードする利益率を達成・拡大することができました。厳しい状況の中、従業員の再教育やリサーチ&イノベーションへの長期的な投資を継続しました。今後も効率と競争力を強化し、収益性と成長機会を追求していきます」
TCS CHRO(最高人事責任者)のミリンド・ラカド(Milind Lakkad)は、次のように述べています。
「TCSは、これまで一貫して行ってきたように、成績上位者の2桁の増額をはじめとして、従業員の年次給与の増額を発表できることを嬉しく思います。離職率は12.5%にまで低下し、新卒採用では多数の応募があり、より多くのお客さまに当社へご訪問頂き、従業員はますますオフィスに復帰しており、社内は活気にあふれ、従業員の士気も高まっています」
第4四半期および当年度の部門別ハイライト*
産業分野別
産業分野 |
Q4 FY23 (%) |
Q4 FY24 (%) |
Y-o-Y[1]
CC**
|
FY 2023 (%) |
FY 2024 (%) |
Y-o-Y*
CC**
|
銀行・金融・保険 |
32.9 |
31.3 |
(3.2) |
33.3 |
32.0 |
(1.0) |
消費財向けビジネス |
16.0 |
15.7 |
(0.3) |
16.0 |
15.8 |
1.8 |
ライフサイエンス&ヘルスケア |
10.9 |
10.9 |
1.7 |
10.8 |
10.9 |
4.8 |
製造 |
8.1 |
8.8 |
9.7 |
8.2 |
8.6 |
7.3 |
テクノロジーサービス |
8.9 |
8.2 |
(5.6) |
9.0 |
8.5 |
(2.3) |
コミュニケーション&メディア |
7.1 |
6.6 |
(5.5) |
7.2 |
6.8 |
(2.6) |
エネルギー・資源・公共 |
5.4 |
5.6 |
7.3 |
5.2 |
5.6 |
12.6 |
その他の産業分野 |
10.7 |
12.9 |
26.0 |
10.3 |
11.8 |
19.8 |
合計 |
100.0 |
100.0 |
2.2 |
100.0 |
100.0 |
3.4 |
* 前年比
**恒常通貨ベース
市場別
地域 |
Q4 FY23 (%) |
Q4 FY24 (%) |
Y-o-Y*
CC**
成長率(%)
|
FY2023 (%) |
FY2024 (%) |
Y-o-Y*
CC**
成長率(%)
|
アメリカ |
|
|
|
|
|
|
北米 |
52.4 |
50.0 |
(2.3) |
53.4 |
51.1 |
(0.2) |
ラテンアメリカ |
1.8 |
2.0 |
9.8 |
1.8 |
2.0 |
12.4 |
欧州 |
|
|
|
|
|
|
英国 |
15.7 |
16.8 |
6.2 |
15.0 |
16.5 |
10.1 |
欧州大陸 |
15.1 |
14.6 |
(2.0) |
14.9 |
14.9 |
0.7 |
アジア太平洋 |
8.0 |
7.8 |
5.2 |
8.0 |
7.8 |
4.5 |
インド |
5.0 |
6.7 |
37.9 |
5.0 |
5.6 |
20.2 |
中東・アフリカ |
2.0 |
2.1 |
10.7 |
1.9 |
2.1 |
14.4 |
合計 |
100.0 |
100.0 |
2.2 |
100.0 |
100.0 |
3.4 |
サービス分野別: 世界的に厳しい状況の中、お客さまはコスト削減、ビジネスの俊敏性向上、セキュリティ体制とレジリエンスの強化に向けた取り組みを優先しています。
クラウド移行とモダナイゼーション、生成AI、エンタープライズアプリケーションサービス、IDおよびアクセス管理、コネクテッドデバイス、デジタル職場環境サービス、ネットワークサービス、ベンダー統合などが成長を牽引しました。
AI.クラウド、エンタープライズソリューション、IoT&デジタルエンジニアリング、サイバーセキュリティが当四半期の成長を牽引しました。
アナリストランキング: 80%のアナリストランキングにおいて、あらゆる主要なサービス分野(アプリケーションの変革、コンサルティング、AI&アナリティクス、クラウド、IoT&デジタルエンジニアリング、会計・財務、調達、アシュアランス業務、エンタープライズアプリケーションサービス、セキュリティ、インフラストラクチャー)でリーダーとしての評価を獲得しました。
- AI.クラウド: 当四半期は、クラウド、データプラットフォーム、AIに対する需要が、業界を問わず大きく見られました。顧客体験の再構築、技術資産の簡素化、業務モデルの変革を目的として、お客さまはこうした技術を積極的に利用しようとしています。また、AIを活用した実験も盛んで、ユースケースの拡大とともに本格稼働も増えています。TCSは、AIや生成AIに関する有機的人材創出への取り組みを当社の強みとして順調に進めています。さらに、新たに発表されたAWS生成AIコンピテンシー(AWS Generative AI Competency)のローンチパートナーでもあります。当社の「Responsible AI Framework for Azure (Azure向け責任あるAIのフレームワーク)」は、Azure Marketplaceで提供されています。
- サイバーセキュリティ: 当四半期は、IDアクセス管理(IAM)、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)、およびネットワークセキュリティ・プラットフォームが、引き続き順調に伸長しています。エンタープライズ・セキュリティの統合的なサービスに対するお客さまの需要も高く、TCSはあらゆる業界や領域において実績を積んでいます。AIや生成AIに関するセキュリティサービスの提供も開始し、お客さまから高い評価を得ています。業界を問わず、各分野に特化したサービスの拡充を続けています。
- エンタープライズソリューション: 当四半期は、エンタープライズ・アプリケーション・サービスに対する高い需要がありました。お客さまはERPを中心とした変革を通じて、デジタルコアに引き続き大きく投資しています。また、ローコードおよびノーコードのアプリケーションによるユーザーエクスペリエンス(UX)とカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上にも大きな関心を示しています。SAP S/4HANA、Salesforce、ServiceNow、Oracle CloudとJDEのプラットフォーム関連製品のポートフォリオが、成長を大きく牽引しました。TCSが注力している、生成AIのユースケースの分野別構築、主要なERPプラットフォームにおけるサステナビリティ関連サービス、Crystallus™(クリスタラス)関連資産も引き続き好調でした。
- IoT&デジタルエンジニアリング:各種変革プログラムと、コネクテッド・プラント、コネクテッド・サービス、インテリジェントなプロダクトエンジニアリングなど、さまざまな次世代ソリューションに高い需要が見られ、堅調な成長を牽引しました。主なサービスは、スマートファクトリー、EVおよびSDV(ソフトウェア定義車両)、デジタルスレッド、デジタルツイン、医療機器エンジニアリングでした。実証プラントや生成AIの活用と相まって、IoTに対応したコネクテッドデバイスや製造プラントが大きく伸長しています。産業分野別では、テクノロジーサービス、コンシューマー向けビジネス、製造、ライフサイエンス&ヘルスケア、エネルギー・資源・公共が成長を牽引しました。
- コグニティブビジネスオペレーション: Cognix™(コグニクス)を活用したITインフラストラクチャー・サービスが、好調な受注で今四半期の成長を牽引しました。主なテーマは、デジタルワークプレイスの再構築、エンタープライズネットワークインフラの変革、ベンダーの統合でした。また、お客さまは、アウトソーシングの導入、俊敏かつレジリエントなサプライチェーン運用、従業員エクスペリエンスの変革といったビジネスプロセスサービスでもTCSをパートナーに選びました。
- TCSインタラクティブ:当四半期、TCS Interactive(インタラクティブ)は、デザイン言語を用いたデジタルプレゼンスの再構築、オンラインチャネルエクスペリエンスの変革、Eコマースのコマンドセンターの運営、リテールメディアネットワークの成熟度調査、マーケティング全般、プロダクトエンジニアリングサービスなど、幅広い分野でお客さまにパートナーとして選ばれました。また、Apple Vision Proを活用した独自の没入型航空体験ソリューション、TwinX™を活用した効率的なマーケティング戦略構築ソリューション、没入型の購買体験を提供するEコマース実現のためのソリューションも高く評価されています。
主な契約案件
- デンマークに本社を置く建築、エンジニアリング、コンサルタントの世界的企業であるRambollと戦略的パートナーシップを締結し、ランボル社のクラウドおよびデータセンター、アプリケーション開発およびメンテナンス、サイバーセキュリティ、デジタルワークプレイスを管理します。これにより、ランボル社は事業の成長につながるデジタル基盤を構築し、気候変動への影響を軽減し、拡張性を高めることができます。
- 保険、資産管理、および退職後の金融サービスを提供する英国の大手企業AVIVAと、15年にわたるパートナーシップの延長を発表しました。これにより、同社の英国における生命保険事業を変革し、TCS BaNCS™(バンクス)のプラットフォームを活用してCXを強化します。エンド・ツー・エンドの保険契約管理サービスは550万件以上に拡大し、金融行為規制機構(FCA:Financial Conduct Authority)の規制下にある英国の系列会社Diligentaが業務を請け負います。
- フィンランドの証券集中保管機関(CSD:Central Securities Depository)であるEuroclear Finlandの基幹システムと、欧州中央銀行(European Central Bank)のTARGET2-Securities(T2S)プラットフォームを統合しました。これにより、クロスボーダー決済がより容易になり、フィンランドへの投資誘致が進むことが期待されます。
- 米国中西部の大手地方銀行であるCentral Bankが、ITインフラのモダナイゼーション、イノベーションの推進、顧客との関係強化を目的として、TCS BaNCS™を採用しました。Central BankとTCSの今回の戦略的パートナーシップは、円滑で柔軟な顧客オンボーディングプロセスを構築し、同行の継続的な成長を実現することを目的としています。
- デンマークの大手電気通信サービスプロバイダーであるNuudayと、複雑なクラウド変革の推進を目的にパートナーシップを締結しました。この数百万ドル規模の契約の一環として、TCSはNuudayのITインフラをTCSのハイブリッドクラウドに移行し、将来の変革への道を拓きます。
- 北欧地域におけるデジタルビジネスおよび消費者情報サービスの大手プロバイダーである Enento Group との戦略的パートナーシップを発表しました。この複数年にわたる協働の一環として、TCSはEnentoのITアプリケーション、クラウド、デジタルワークプレイス、ITセキュリティを変革し、レジリエントな事業運営を実現します。TCSのクラウドとDevOps*のソリューションは、ビジネスの俊敏性を加速させ、業界最高水準のデジタルエクスペリエンスをEnentoの顧客に提供します。
*DevOps(デブオプス): 開発チーム(development)と運用チーム(operations)が相互に協調し、開発・運用するソフトウェアやシステムによりビジネス価値を高めるだけでなく、その価値を確実かつ迅速にエンドユーザーに届け続けること。
- Toyota Motor North America(トヨタ自動車の北米法人)は、サプライヤーを統合し、ITインフラ、ウェブサイトサービス、コーポレート、プラントにおけるCXを変革する戦略的パートナーにTCSを選びました。このパートナーシップを通して、生成AIと自動化を駆使し、ダイナミックな相乗効果と技術的負債の削減を実現して、オムニチャネル体験を提供します。
- Ontario Teachers' Pension Plan(オンタリオ州教職員年金)は、ITマネージドサービスと変革への取り組みにおける、TCSとの長年にわたる戦略的パートナーシップを更新し、連携を深めることとなりました。OTPPとTCSは、サービスの変革、および信頼性と卓越性の強化に対するコミットメントを共有しており、今回の更新により、これまで築き上げてきた協力関係をさらに強化していきます。TCSは、業界に関する専門知見の提供、クラウド移行の加速、自動化の推進に注力して、OTPPが戦略的目標を確実に達成できるよう引き続き支援する体制を整えています。
- オランダの多国籍塗料・コーティング企業であるAkzoNobelとのパートナーシップを拡大し、TCSの文脈的知識*と技術的専門知識を活用して、安定したアプリケーションのポートフォリオを提供し、ビジネス運用の簡素化を推進し、生成AIと高度な自動化により、バリューチェーン全体のユーザー・エクスペリエンス(UX)を向上させます。また、AkzoNobelがビジネスのケイパビリティを強化して、さまざまなデジタル変革(DX)への取り組みを大規模に実行することで、市場投入までの時間を改善するのを支援する。
*contextual knowledge(コンテクスチュアルナレッジ): お客さまが置かれた様々な状況において適用すべき最適な知見。
- 欧州の大手航空会社であるeasyJetとの戦略的パートナーシップを拡大し、同社のITオペレーション全体を変革します。TCSは、全く新しいプラットフォーム・ベースの未来型運用モデルを構築し、最先端技術を活用して、TCSのソリューションであるCognix™、ignio™ AIOpsを導入してインフラをモダナイズし、データセンターをクラウドに移行して業界最高水準のサービスを提供します。これにより、オペレーションの俊敏性が向上し、競争力が強化され、持続可能な成長が促進され、easyJetの顧客に最高の旅行体験をもたらします。
- オーストラリアのMacquarie Universityと提携し、TCS GoZero Hubを立ち上げます。これは、オーストラリアの組織がネットゼロを目指すためのリサーチ&イノベーションセンターです。この研究拠点は、COP28の中心テーマに沿って、エネルギー転換、炭素管理、自然を大切にする未来、循環型経済と持続可能な廃棄物管理、気候適応とレジリエンスという5つの中心テーマに焦点を当て、将来の気候変動をどのように抑制し、備えていくかを追究します。
リサーチ&イノベーション
2024年3月31日現在、TCSは当期に出願した188件を含め、8,040件の特許を出願中で、当期に取得した461件を含め、これまで3,919件の権利を取得しています。
人材関連
2024年3月31日時点で、TCSの総従業員数は60万1,546人となりました。従業員は引き続き多様性に富み、出身国は152カ国に渡り、女性従業員比率は35.6%となりました。
今年度に入ってから現在までに、51万時間の学習時間を記録し、獲得した専門スキルは、5万に達しました。ITサービス部門の過去1年の離職率は12.5% LTMでした。
受賞歴
ビジネスリーダーシップ関連
以上