AI(人工知能)は2020年までに劇的な影響を及ぼすようになる
2017年5月18日
タタコンサルタンシーサービシズ(本社:インド・ムンバイ、以下「TCS」)は、グローバルトレンド調査「日々進歩する能力:AIをビジネス向上に活用し始めたグローバル企業」を発表しました。AIがもたらす影響について現状と未来像に焦点をあてて、世界4地域の13業種835社の経営陣にアンケート調査を行った結果、84%の企業が既にAIを活用しており、約90%がAIは事業競争の上で重要であると考えています。さらにAI投資の50%が単なる既存の業務効率の改善にとどまらず、ビジネスの変革に活用されるとみていることが明らかになりました。
現在AIの利用頻度が最も高いのはIT部門ですが、2020年までにAIの恩恵を最も受けるのはIT以外の部門になると予想されています。現時点で68%の企業がIT部門でAIを使用し、次に利用しているという回答の多かったカスタマーサービス部門の32%とは2倍以上の開きがあります。しかし、企業幹部の7割は2020年までにはAIにより最も著しく影響を受けるのはIT部門以外になると考えられています。3分の1近い32%が、AIの影響が最も大きいのは販売・営業、マーケティング、あるいはカスタマーサービスと予想しており、また20%が顧客と直接関わることのないコーポレート部門―財務、戦略立案、事業開発、経営企画、人事等―と考えています。
本調査には、自動車、金融、エネルギー、ヘルスケア、ライフサイエンス、製造、小売など、多岐にわたる業界の企業が参加し、様々な企業の視点を通して、職場におけるAIの影響が今後数年間においてより重要なものとなることが明らかになりました。具体的には、カスタマーサービスにおいては、顧客の問題をより迅速に解決し、今後の購入を予測すること、金融機関においては、一晩のうちに大量に行われる取引を迅速かつ安全に遂行すること、人事部門においては、新入社員の入社手続きにかかる担当者の時間削減などが例として挙げられます。
昨今議論さている、AIが及ぼす職に対する影響に関しては、2020年までの削減は4%から7%程度に収まると見込まれています。一方で、AIへの投資により最も大きな効果を得ている企業は、最も小さい企業グループに比べて、2020年までに3倍もの人工知能関連の役割が必要であると見ています。既に特定の分野において、人工知能による自動化及び効率化は進められており、社員自身の効率化を図り、戦略的な業務にかける時間を割くことによって、過去には実現なし得なかったサービスや事業展開につながると見られています。
TCSの最高技術責任者(CTO)であるアナンス・クリシュナンは、次のように述べています。「企業がAIの活用に関してより理解を深めていくにつれ、この変革がもたらす影響がいかに大きなものであるか気付くでしょう。これは本調査結果にも反映されており、先進企業がAIに大規模な投資を始めていることが見受けられます」「様々な分野においてのデジタルの混乱増加を考えると、AIは組織戦略における重要な要素となるでしょう。」
部門により差はあるものの、企業幹部は2020年までにAIにより各部門の業務が最終的に4%(例えば、開発)から7%程度(調達など)、削減されると予想しています。ただし、昨年AIの活用によって最も大きな増収・コスト削減効果を得た先進企業では、その効果が最も小さかった企業と比べ、2020年までに各部門で創出されると予想される仕事の量は少なくとも3倍多いとされています。
本調査では、AIへの投資とビジネスへの影響が明確に相関していることが判明しました。AIの導入により、収益改善とコスト削減をより多く実現した企業は、収益改善とコスト削減が少なかった企業と比較して、5倍を超える技術投資を行っていることが明らかになりました。また、2015年のAIを導入した企業あたりの収益は、前年比較で平均16%の増加に成功したものの、未導入の企業はわずか平均5%の増加に留まりました。地域別にみると、2015年の企業あたりのAIへの平均投資額は北米が8000万ドルで最も高く、次いで欧州の7300万ドルでした。ただし、今年はその両者の間で順位が逆転し、回答企業の平均投資額は欧州8000万ドル、北米6400万ドルとなる見通しです。その一方で、今年2億5000万ドル以上をAIに投資すると答えた北米企業の割合は8.5%、欧州では6.5%でした。
本調査に参加した各地域および業界の経営幹部達は、AIに対する理解が広がり、事業に利益をもたらすものにするために重要な要素として、4つの項目を評価しました。 現在およそ7割(68%)の企業が、ハッキングをはじめとするセキュリティ上の脅威を、AIを用いて検出し、未然に防いでいます。また、他の重要な要素として、大量のデータに基づく信頼性の高い安全な意思決定を行う能力を持つ認知システムを開発すること、AIのサポートを受ける管理者がAIを信頼するに十分な確信を得ることが挙げられました。
今回の調査には、全体の5.5%にあたる46社の日本企業も協力しました。回答した企業の94%がすでにAIを活用しており、AIは日本企業に浸透していることがわかりました。また、未活用企業も2020年までには導入を予定しているなど、AIに対する関心は強い一方で、現段階では大胆な投資をしている企業は少なく、今後の競争力に不均衡が生じる可能性が予想されます。現在AIを使用している部門としては、IT部門が際立っており、約61%の日本企業がIT部門でAI技術を活用していると回答しました。日本では製造部門にAI技術活用の可能性を見出している企業が多いのが特徴的で、これは製造部門を最もAI技術の恩恵を受ける部門と回答した米国およびドイツの8%を上回りました。
【第7回TCSグローバルトレンドスタディー について】
7回目となる今回のグローバルトレンドスタディーでは、世界中の835社(売上高の平均値200億ドル)の経営者を対象に実施されました。4つの地域の内訳は北米(アメリカ、カナダ)、欧州(イギリス、ドイツ、フランス、デンマーク、スイス)、アジア太平洋(インド、中国、オーストラリア、日本)、中南米(ブラジル、メキシコ)で、実際の調査は2016年6月に行われました。
【タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)について】
タタコンサルタンシーサービシズは、世界の企業を顧客として革新的かつ業界最高水準のIT サービス、コンサルティング、およびビジネスソリューションを提供する企業です。TCS はコンサルティングを基盤とし、IT、BPS、インフラストラクチャ、エンジニアリング、およびアシュアランスサービスを総合的に展開しています。これらは卓越したソフトウェア開発の基準として認識されている、TCS 独自のグローバル・ネットワーク・デリバリー・モデル(Global Network Delivery Model)を通じ、提供されています。TCS は世界有数のコングロマリット(複合企業体)であるタタグループに属し、387,000人を超える最高のトレーニングを受けた人材を世界45 カ国に展開しています。2017 年3 月31 日を末日とする会計年度の売上高は176 億米ドルに達し、インドナショナル証券取引所とボンベイ証券取引所にも上場しています。 TCSの詳細については www.tcs.com/jp をご覧ください。
※本内容は、2017年3月15日(現地時間)にインド・ムンバイで発表されたプレスリリースの抄訳です。