TCS、第2四半期は堅調な増収増益を記録
- 第2四半期の売上高は恒常通貨ベースで前四半期比4.8% 増、米ドルで7.2%増、印ルピーで4.7%増
- 銀行・金融・保険(前四半期比6.2%増)および小売(前四半期比8.8%増)が成長を牽引
- 業界トップクラスの営業利益率:26.2%*
- 良好な受注実績:総契約額(TCV)80億6,000万ドル
- 取締役会が20億1,800万ドルの買い戻しを発表
* 本プレスリリースの日本語抄訳では、会計年度表示を本社(インド)に合わせた表記としています。 (例:2020年3月31日を末とする会計年度は「2020年度」となります)
このページは2020年10月7日(現地時間)にインド ムンバイにて発表されたプレスリリースの抄訳です。発表内容の詳細は原文をご覧下さい。
▶ 原文は こちら
ムンバイ、2020年10月7日:ITサービス、コンサルティング、ビジネスソリューション企業であるタタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、Ind AS(インド会計基準)およびIFRS(国際財務報告基準)に基づき、2020年9月30日を末日とする四半期の連結決算を発表しました。
2020-2021年 第2四半期の業績ハイライト
- 売上高: 50億4,240万ドル、 前四半期比7.2%増、前年同期比1.7%減
- 為替変動の影響を除外した売上高: 前四半期比4.8%増、前年同期比 3.2%減
- 純利益: 10億1,400万ドル*、前四半期比23.4%増、前年同期比0.2%増
- 営業利益率: 26.2%*、前年同期比2.2%増、純利益率:21%*
- キャッシュコンバージョン: 営業キャッシュフローは10憶4,400万ドル、純利益の125.9%
- 総従業員数: 453,540人、純増数: 9,864人、うち女性従業員は 36.4%
- 352,000名以上の従業員に新規技術の研修を実施
- 427,000名以上の従業員にアジャイルメソッドの研修を実施
- 業界最高水準の従業員保持率を維持 (ITサービス部門の離職率は8.9% LTMを記録)
- 資本配分
- 1株当たり配当額*: 12.00ルピー(基準日は2020年10月15日|支払日は2020年11月3日)
- 取締役会は、計1,600億ルピー(関税、その他の諸経費を除く)を上限として、取締役会メンバーの郵便投票による特別決議での承認を必要とするTOB(株式公開買付)により、発行済TCS株式の1.42%に当たる最大5,333万3,333株を1株当たり3,000ルピーで買い戻すことについて承認
*法的要請に基づく1億6,500万ドルを除く
TCS CEO(最高経営責任者)兼マネージングディレクターのラジェシュ・ゴピナタン(Rajesh Gopinathan)は、第2四半期の事業を振り返り、次のように述べています。
「TCSは、顧客がデジタルへの投資による事業価値向上に注力するようになったことで、広範な分野にわたる増収を実現しました。堅調な受注、好調な契約案件のパイプライン、そして継続的な市場シェア獲得がTCSの将来を盤石にしています。現在私たちが経験していることは、数年間におよぶ技術革新のサイクルの第一歩です。現段階において、企業は堅牢で安全かつスケーラブルなデジタルコアとしてクラウドプラットフォームを構築しています。しかし、次の段階になると、こうしたプラットフォームが持つケイパビリティが革新的なビジネスモデルの創出やカスタマーエクスペリエンス(CX)の差別化に活用されるようになるはずです。こうしたプラットフォームに関するTCSの高度な専門性、リサーチ&イノベーション、さらに深い文脈的知識*を駆使したソリューション開発への投資によって、高まり続ける需要の恩恵を最大限かつ確実に享受できるのです」
*Contextual Knowledge(コンテクスチュアル・ナレッジ): 顧客が置かれた様々な状況において適用すべき最適な知見 。
TCS COO(最高業務執行責任者)兼エグゼクティブディレクターのN.ガナパシー・スブラマニアム(N Ganapathy Subramaniam)は、次のように述べています。
「TCSの当四半期の業績は、顧客がクラウド化、デジタル化、そして働き方の簡便化によってリスクを最小化し、長期的に堅牢性を維持できる体制へ移行するためにサービスやソリューションの強化に取り組んできた証といえるでしょう。顧客はTCSとパートナーシップを結び、TCS独自の『Secure Borderless Workspaces™ (SBWS™)』や、『Vision 25x25™(2025年までに全世界のTCS従業員のオフィス勤務率をコロナ禍以前の25%に縮減する計画)』、『ロケーションインディペンデント・アジャイル™(Location Independent Agile™)』のソートリーダーシップ・フレームワークを活用しながら、堅牢性、適応力、将来性を兼ね備えたIT運用モデルの構築を目指しています。アクセシビリティや非接触性がソリューション設計において重視されるようになり、TCSのプロダクトやプラットフォームは従来にもまして注目を集めています。基幹システム変革の他にも、例えばTCSの『クォーツ™・ブロックチェーンソリューション(Quartz™ Blockchain Solution)』は、銀行間取引、暗号資産、即時決済の実現を目指す大手銀行や市場のインフラ組織から選ばれています」
TCS CFO(最高財務責任者)のV. ラマクリシュナン(V Ramakrishnan)は、次のように述べています。
「TCSは、成長が利益の最大化において最も有効な手段であるという姿勢を貫いてきました。この成果は、当四半期の実績にも顕著に表れています。優れたキャッシュコンバーション、これまでで最も低いDSO(売掛金回転日数)においてさえ、高い営業利益率を維持し、全ての財務指標で目標を達成したことを喜ばしく思います。今後も人材への投資を継続し、新たなケイパビリティの構築に注力し、さらなる成長とシェア拡大に取り組みます」
第2四半期の部門別ハイライト
**恒常通貨ベース、前四半期との対比
産業分野別: 銀行・金融・保険(6.2%増)、小売・消費財(8.8%増)、ライフサイエンス&ヘルスケア(6.9%増)が堅調な成長を維持しました。テクノロジーサービス(3.1%増)と製造(1.4%増)が成長を記録する一方で、通信・メディアは減退しました(2.4%減.)。
市場別: すべての地域で継続的な成長を記録しました:北米(3.6%増)、英国(3.8%増)、欧州(6.1%増)。新興市場も堅調に成長しました:インド(20%増)、中東・アフリカ(8%増)、ラテンアメリカ(5.5%増)、アジア太平洋(2.9%増)。
サービス分野別: 将来の成長のための変革に対する選択的投資の機運がクラウド、セキュリティ、アナリティクス、コグニティブビジネスオペレーションを中心として、全業界・全地域にわたる堅調な成長の回復に寄与しました。
- コンサルティングおよびサービスインテグレーション: 顧客企業がポスト・コロナの世界を見据え、新たな現実への適応に取り組む中で、ロケーションインディペンデントな業務遂行、非接触式のCX、M&Aおよび企業内グループの機能統合が活発に進展しています。俊敏性向上、M&Aサービス、金融、シェアードサービスも堅調に推移しました。
- コグニティブビジネスオペレーション(CBO): 完全リモート環境での作業を実現するAIや機械学習によるプロセスマイニングを活用したTCSのゼロタッチ(Zero Touch)モデルが、業界トップクラスのオファリングとして市場を牽引し、高い評価を獲得しました。インテリジェントプロセスオートメーション(IPA)、デジタルサービスデスク、ファイナンスアンドサプライチェーンなどのコグニティブオペレーションによるCBO分野の成長は多岐にわたります。
- デジタルトランスフォーメーションサービス:当四半期は、パブリックならびにプライベートのクラウドサービス、スパニングアプリケーション、インフラストラクチャのマイグレーション、モダナイゼーション、デジタルな職場環境サービスに対する需要が高まりました。同様に、企業の脆弱性管理、ID・アクセス管理、マネージドサービスなどのサイバーセキュリティサービスも堅調に成長しました。デジタルチャネルのCX強化への注目の高まりが、インタラクティブデザイン、デジタルマーケティング、コンテンツサービスに対する需要を力強く押し上げています。他に利益を生み出す分野として、アナリティクス、特に顧客分析、データ資産のモダナイゼーション、リスク・規制・コンプライアンスのアナリティクスが挙げられます。いずれも企業や製品の差別化、事業の俊敏性獲得、顧客のセグメント化やターゲティング、コラボレーションにおいて重要です。
第2四半期の主な契約案件
- 日本の大手製薬企業と、品質改善のためのパートナーシップを締結しました。TCSのTASE(Test Automation Solution for Enterprise Applications:エンタープライズアプリケーションのための自動化テストソリューション)およびCXアシュアランスのプラットフォームを駆使してERPシステムを検証し、品質向上と新薬上市にかかる期間短縮を目指します。
- Toyota Motors North Americaより、ignio™を活用し、業務効率化とCX向上を目指すITインフラ変革において戦略パートナーに選ばれました。
- 米国の食品・製薬の小売企業であるAlbertsonsより、主要なメインフレームのレガシーシステムをパブリッククラウドへ移行する変革パートナーに選ばれました。
- 米国およびカナダの女性アパレルブランドのmauricesより、新規のITエコシステム構築におけるDXのパートナーに選ばれました。TCSは安全かつ将来を見据えた新システムの構築と運営を担うとともに、全社的な相乗効果の創出と俊敏性の獲得を支援します。
- オーストラリアの通信プロバイダーであるTPG Telecomにより、変革の達成に向けたITマネージドサービスのパートナーに選出されました。本契約は、アプリケーションマネージドサービス、インフラストラクチャサービス、エンドユーザー・マネジメントサービス、およびサイバーセキュリティサービスを含みます。
- トラベル・ツーリズムのテクノロジー企業である Travelport と、製品および技術スタックの単純化を通じた包括的なCXの変革のための契約を締結しました。
リサーチ&イノベーション
- TCS BaNCS™が IBS Intelligenceの 「Investment and Fund Management System」 の売上ランキングで首位を獲得するとともに、IBSI Sales League Tables 2020の「Universal Banking and Pure-play Digital Banking」部門で2位にランクインしました。
- ignio™が、「AI Breakthrough Award, 2020」の「Best Overall AI Platform」を受賞しました。審査員は、ignio™の市場における急速な成長やリーダーシップに加え、先進的な機械学習とAIのケイパビリティを高く評価しました。
- TCS OmniStore™が、「Best OmniChannel Interactive Customer Experience(最優秀オムニチャンネルインタラクティブCX)」として、「ICX Association’s Elevate」を受賞しました。TCSの統合プラットフォームは、小売業者がモバイル上、ウェブ上、実店舗のさまざまなチャネルを通じて魅力的な購買体験を提供できるよう、インタラクティブな技術を活用して包括的なカスタマージャーニーを創出していると評価されました。
- 2020年9月30日現在、TCSは当四半期に出願した176件を含め、5,500件の特許を出願中で、これまでに1,593件の権利を取得しています。
人材関連
2020年9月30日現在、総従業員数は45万3,540人でした。従業員の出身地は147カ国で、女性従業員比率は36.4%でした。
TCSは、有機的な人材開発への投資を継続し、業界最高水準の実績を達成しています。第2四半期は延べ1,020万時間の学習時間を確保し、前期から29%増加しました。352,000人以上の従業員に複数の新規技術に関する研修を、427,000人以上の従業員にアジャイルメソッドに関する研修を実施しました。
TCSは業界最低水準の離職率を維持しており、ITサービス部門の当四半期の離職率は8.9% LTMでした。
TCS 人事部門グローバルヘッドのミリンド・ラカド(Milind Lakkad)は、次のように述べています。
「TCSの従業員は、コロナ禍による困難な状況において優れた対応能力を発揮しました。今後の成長軌道への回帰を見据え、第2四半期には新入社員も迎え入れ、採用活動を強化しました。TCSは、従業員の心身の健康を重視しており、新型コロナウイルス感染者の増加に備え、従業員や顧客に向けてSBWS™によるリモート環境下で勤務できる体制の整備に努めてきました。このコロナ禍において従業員や家族を支えるため、医療支援体制と緊急対策サービスも整備し、第一級の感染者隔離センターをTCSがインド国内に擁する11の拠点内に設置しました。加えて、従業員エンゲージメントやケア体制も強化しました。『One TCS』(従業員向けオンラインチャネル)は、優秀なリーダーやメンタルヘルスの専門家によるタウンホールミーティングを開催し、グローバルな人材獲得コンテストなどのプログラムも実施していますが、いずれも従業員のストレスや孤立感の軽減と、モチベーションの向上を目的としています。加えて、セルフヘルプやカウンセリングのサービスも提供し、当四半期には約8,000人の従業員がこれらのサービスを利用しました」
受賞歴
ビジネスリーダーシップ関連:
- 「第7回Asia-Pacific Stevie® Awards」で、「Standard Chartered Singapore Marathon 2019」の公式アプリが評価され、「Innovation in Entertainment Apps」部門で銀賞を、TCSの優れた技術力で成長と変革を加速したことが評価され、「Excellence in Innovation in Technology Industries」部門で銅賞を受賞、計2つのStevie®を獲得しました。
- 「2020 Great Employers Awards」で、TCSの人材マネジメント、CSRおよび業績が優れた人材を惹きつけ、グローバルで多様な人材と活気ある職場環境をもたらしたと評価され、6つの金賞、8つの銀賞、および4つの銅賞、計18のStevie®を獲得しました。
- 「2020 International Business Awards」の「 IT Department of the Year)」部門と「Mobile Site & App-Sports」部門で2つの金賞、TCS Optumera™が評価され「Artificial Intelligence/Machine Learning Solution」部門で銀賞、「Most Exemplary Employer」部門で銅賞と、計4つのStevie® を獲得しました。
- 人材マネジメントと優れた学習環境が評価され、「2020 Brandon Hall Group Awards(2020年ブランドンホールグループアワード)」で、「Best Advance in Creating a Talent Strategy」部門と「Best Learning Program Supporting a Change Transformation Business Strategy」部門の2つの金賞と、「Best Use of Games and Simulations for Learning」部門の銀賞、計3つの賞を獲得しました。
- TCSのソフトウェアベンチャー企業であるDigitate(ディジテート)が、「Software Report」の「Top 100 Software Companies of 2020(2020年トップ100ソフトウェア企業)」においてignio™の急速な成長と市場におけるリーダーシップを評価され、37位にランクインしました。
パートナーシップ関連:
- 汎用性に優れたソリューションや変革の実績を通して、安全性、俊敏性、堅牢性の強化や、低いTCOの実現、ガバナンスの向上といった顧客の業績に寄与したとして、Microsoft Corporationが主催する「2020 Canada IMPACT Award」において「Datacenter Migration」の部門賞を受賞しました。
- Amazon Web Services (AWS)により、顧客の基幹アプリケーションのクラウド移行を支えた実績が評価され、「2020 AWS Migration Success Partner of the Year(2020年度AWS優秀マイグレーションパートナー)」を受賞しました。
個人関連:
- サイバーセキュリティサービス グローバルヘッドのサンディープ・オベロイ(Sundeep Oberoi)が、ソフトウェア製品やシステムのエンジニアリングのための、200 以上のISO 基準のガバナンスプロセスやサポートツール・技術を管理する団体であるISO SC7のチェアパーソンに再選されました。
- プリンシパルサイエンティストのアナンド・クマール(Anand Kumar)が、2021年1月からINCOSE Architecture Working Groupのチェアパーソンに任命されました。また、Bureau of Indian Standards(BIS:インド基準庁)のIndia Agile Standardsのチェアパーソンにも選出されました。
- チーフサービスイノベーションオフィサーのハリック・ヴィン(Harrick Vin)ならびに、チーフサイエンティストのシャルミラ S マンデ(Sharmila S Mande)が、Indian National Academy of Engineeringのフェローに選ばれました。
- ローンおよび銀行・金融・保険ビジネスグループのカーティック・クマール(Karthik Kumar)が、住宅ローン業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速とコグニティブテクノロジーの適用が評価され、「2020 HousingWire Vanguard Award」を受賞しました。
以上