Press Release
2020年12月14日
東京大学と日本TCS、南相馬市の中学生に社会課題をITで解決するための学習プログラムを提供
〜プログラミング技術によるドローン操作を学ぶ体験授業〜
2020年12月14日: 国立大学法人東京大学(東京大学)と日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社(日本TCS)は、福島県南相馬市の協力により、同市の中学生に社会課題をITで解決する手段を学ぶ体験授業を提供します。
この取り組みは、プログラミング学習やドローンの操作を通じて先端技術に触れ、社会課題の具体的な解決策や将来の社会のあり方を考えるきっかけとなることを目的としています。
今回の体験授業は、学術研究活動支援事業(大学等の「復興知」を活用した福島イノベーション・コースト構想促進事業)で東京大学と南相馬市が取り組んできた小学生向けドローンプログラミング教育で培った知見や東京大学が擁する「復興知」、さらに、タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)がグローバルで培ったドローンを活用したビジネスソリューションに関する知見、それぞれの強みを活かして実施されます。
また、これは東京大学とTCSが締結した産学協創協定にもとづくプロジェクトでもあります。日本TCSは、授業において生徒がプログラミングに使用するタブレット端末を提供し、CSR担当社員がプログラミングの技術的習得をサポートします。
初回の体験授業は、南相馬市立石神中学校の約60人の生徒を対象に12月3日(木)と12月14日(月)の2日間のプログラムで実施されました。
前半の「Day 1」では、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻航空宇宙システム学講座の土屋武司教授によるオンライン授業を実施し、ITやプログラミングについて学びました。
後半の「Day 2」では、同校の体育館で、生徒が作ったプログラムでドローンを飛ばし、ドローンの活用アイデアを発表しました。オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッドな授業方法をとることで、生徒がワクワクする体験を損なうことなく、新型コロナウイルスの感染防止にも配慮しました。
プログラム概要
東京大学、南相馬市、日本TCSは、産学官連携の枠組みのもと、この取り組みを通じ、今後も南相馬市の中学生に向けて体験授業を展開し、IT活用による未来社会への発想力・想像力の醸成に繋げていきます。
学術研究活動支援事業(大学等の「復興知」を活用した福島イノベーション・コースト構想促進事業)について
全国の大学等が有する福島県復興に資する知を、浜通り地域等に誘導・集積するため、組織的に教育研究活動を行う大学等を支援することにより、浜通り地域等での大学等による教育研究活動を定着、拡大させるとともに、大学間、研究者間の相互交流、ネットワークづくりを推進することを目的とした事業です。
東京大学では4件の事業が採択され、本体験授業はその中の「ドローン産業振興及び人材育成プロジェクト」の一環として行われています。
東京大学と南相馬市の取り組みについて
平成31年2月に南相馬市と東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻は、相互の発展に資するため、ドローンを利活用した研究・教育活動を推進するとともに、その活用による地域振興に取り組むための包括的な連携協力協定を締結しました。
本協定に基づき、両者が協力し、市内小中学校において、ドローンの可能性、安全性等の知識の付与およびドローン操縦技術の習得を目的とした特別講座の開催などの取り組みを展開しています。
TCSのドローン活用の取り組みについて
TCSは、革新的かつ業界最高水準のIT サービス、コンサルティング、およびビジネスソリューションを世界中の大手企業に向けて提供するグローバル企業です。TCSはグローバルで培ったビジネスソリューションの知見や最新のドローン技術を組み合わせ、顧客に向けた革新的なソリューションの提供にも取り組んでいます。2017年5月には、米国オハイオ州シンシナティに同社初のドローン技術に特化した研究開発拠点「TCSドローンリサーチラボ」も開設しました。これまでの実績には、ドローンでキャプチャされた画像の完全自動処理能力を活かした倉庫内の在庫管理や、絶滅危惧種の保護(密猟者の監視)などの取り組みが挙げられます。
日本TCSは、インド・ムンバイに本社を置くコングロマリット、タタ・グループのIT事業部門であるTCSの日本法人です。TCSは、タタ・グループが掲げる「利益の3割を地域社会に還元する」という創業理念を受け継ぎ、CSR活動に注力しています。欧米では、小学校向けのSTEM教育支援「goIT」や、教育現場にコンピューテーショナル思考の習得機会を提供する「Ignite My Future in School(IMFIS)」を継続的に実施するなど教育分野において豊富な知見を擁する企業です。2019年12月には、IMFISの取り組みが評価され、米国で「Corporate Social Responsibility Award」を受賞しました。
日本TCSでは、小学校で必修化されたプログラミング学習を支援すべく、本業で培ったITやデジタル技術の知見を生かしたCSR活動「Kids Drone Project(キッズドローンプロジェクト)」を通じ、日本におけるSTEM人材の育成に貢献しています。
注:
*1 Society 5.0(ソサエティ5.0)
Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実世界)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会課題解決を両立した人間中心の社会で、「狩猟社会(Society 1.0)」、「農耕社会(Society 2.0)」、「工業社会(Society 3.0)」、「情報社会(Society 4.0)」に続く、新たな社会像を指します。
内閣府の第5期科学技術基本計画において、わが国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。
*2 デザインシンキング(Design Thinking)
デザインシンキング(デザイン思考)とは、デザイン(設計)したサービスや製品の先に存在するユーザーを理解し、仮説を立て、初期の段階では明らかにできなかった第二の戦略や代替解決策を特定するために課題を再定義する、一連の課題解決方法(考え方)です。
*3 アイデアソン(Ideathon)
アイデアソンとは、アイデア(idea)とマラソン(marathon)を組み合わせた造語で、新たなアイデアを生み出すための協創(co-creation)イベントです。主にITの分野で行われています。
<本件に関する報道関係者のお問い合わせ先>
南相馬市の取り組みについて
南相馬市役所
経済部 商工労政課 ロボット産業推進室
E-mail: robotsuishin@city.minamisoma.lg.jp
復興知事業について
国立大学法人 東京大学
産学協創部
E-mail: kyoso-info.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jp
※ メールの件名の冒頭に 【TCS・東大産学協創】 とご記載ください。
本授業のプログラムについて
日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社
マーケティング&コミュニケーションズ統括部
E-mail: jpsm.koho@tcs.com / TEL: 03-6736-7000