株式会社NYK Business Systems
Office 365 運用サポートプロジェクト
短期間での運用体制確立と、24時間365日のOffice365運用サポートで業務負荷低減を実現
1885年の創業以来、130年以上にわたって世界海運のリーダーとして発展してこられた日本郵船株式会社様(以下、日本郵船様)。海・陸・空にまたがるグローバルな総合物流企業として、「モノ運び」を通して人々の生活を支えることを理念に、グローバルなビジネスを展開しておられます。同社を中核とする日本郵船グループの一員、株式会社NYK Business Systems様(以下、NBS様)は、グループ各社の企業戦略に沿った情報戦略の策定・推進、業務システムの企画・開発・保守・運用、各種ユーザー支援など、ICTを活用した幅広いビジネスソリューションを提供しておられます。
グループ経営をより強固にし、ビジネス上の競争力を増していくためには、グループ会社間の緊密なコミュニケーションが不可欠です。日本郵船グループでは、会社ごとにメールシステムが異なるため、グループ間でのスムーズな情報共有がしづらいという問題が生じていました。グループ会社間の連携を強化し、技術力を結集してさらなる付加価値を生み出すために、NBS様はグループ全体のコミュニケーション基盤を刷新されることとなりました。
ほかのマイクロソフト製品との親和性も決め手となり、新たなコミュニケーション基盤としてOffice 365を導入されました。既存システムからの切り替えに当たり、NBS様は世界で約3万人のグループ社員が利用するOffice 365の運用をサポートできるパートナーを探されました。日本郵船グループのビジネスは世界各地に広がっていることから、パートナー企業には英語での24時間365日の運用サポートが求められました。タタコンサルタンシーサービシズ(以下、TCS)は、米国で定期船業務システムの開発を行うなど、日本郵船様のグローバルビジネスを長年にわたってご支援してきました。そうした日本郵船様とのパートナーシップに加え、Office 365運用サポートのグローバルにおける豊富な実績を背景に、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(以下、日本TCS)はNBS様のパートナー企業として選定していただきました。
NBS様のビジネスアプリ推進部長である玉野稔様は、日本TCSを選んだ理由を次のように語ります。「日本のIT企業に海外対応のサポートを頼むと、一からの設計になってしまい、非常に大掛かりで割高になってしまいます。海外対応の豊富な実績を持ち、柔軟な対応を期待できることから日本TCSにお願いすることとしました」。またビジネスアプリ推進部NYUCALプロジェクト推進課長の加藤今日子様は、「Office 365の海外展開が始まるまでに、運用体制を整備する必要がありました」と当時の状況について話します。本プロジェクトのキックオフは2016年6月。海外展開の期日が8月に差し迫る中、サポート体制の構築は待ったなしの状況でした。
運用サポートを務めるに当たり、TCSではNBS様からの業務移行を複数段階に分けて行いました。まず、NBS様のサポートニーズを聞き取るナレッジ移行フェーズ。これは日本郵船グループの業務内容への理解を深め、運用サポートの具体的な手順についてNBS様と一つ一つ確認するフェーズです。ナレッジ移行フェーズでサポート手順を明確にした後は、TCSがNBS様のサポート補助を行うセカンダリ・サポート、さらにTCSがメインでサポートを行うプライマリ・サポートへと業務移行を進め、当初の計画通り8月初旬に合わせてサポート体制の構築が完了しました。6週間というタイトなスケジュールでしたが、全く遅延することなく業務移行を終えたことについて、NBS様からは高い評価をいただきました。ビジネスアプリ推進部グループウェア運営課長の林敦子様からは、「TCSが用意する資料は非常に精度が高く、本プロジェクトのスケジュールは理想的でした。また、業務移行期間中はオンサイトで日本語のサポートを受けられたのでとてもスムーズでした。当グループの社員は世界中で仕事に従事していますが、Office 365全体の管理者は日本にいます。当社のオフィス内で業務内容を聞き取ってもらうことで、細かいニュアンスを含めて手順書に落とし込むことができました」と日本TCSのオンサイト対応をご評価いただきました。またビジネスアプリ推進部NYUCALプロジェクト推進課の丸野由紀子様は、「運用で利用するチケット管理ツールのレポート作成においては、プネのチームが主体的にリーダーシップを発揮してくれました。チケット管理ツールに関する深い知見を持っていたのも、われわれとしては非常にプラスでした」と話します。
今回のプロジェクトでは、インド・プネにある共有サービスデスクチームが運用サポートのレベル1.5〜2を担い、同チームが全てのサポートを提供しています。Office 365の利用に何か問題が生じた場合には、まずレベル1であるNBS様内のサービスデスクが対応されます。レベル1で対応できない問合せや依頼については、プネのサポートチームへエスカレーションされます。プネのサポートチームは、24時間365日、英語でサポートを実施します。インドは日本から地理的にかなり離れていますが、林様と丸野様は、その距離を全く感じないと話します。「TCSの提供するサービスは品質が安定していますし、また弊社とプネ・チームの橋渡しをする担当者が日本にいることも、実際の距離を感じない大きな理由だと思います」
TCSには、さまざまな課題を高度なテクノロジーで解決する、エキスパートISという専門家チームがあります。Office 365についても、プネのサポートチームで対処できない問題が生じた際には、エキスパートISがリーダーシップを発揮して問題解決に当たっています。
例えばOffice 365にサービス障害が生じると、一時的にメールができなくなるという事態もあり得ます。通常、インシデントの情報がマイクロソフトのWEBで報告されるまでには時間がかかりますが、短時間であってもメールを送受信できない状況が生まれるのは、お客様のビジネスにとって非常にクリティカルな問題です。そこでTCSはエキスパートISチームと連携して、メール送受信の障害をなるべく早く検知する仕組みを構築・提案し、間もなく導入される予定です。この仕組みによって、メール障害に対してNBS様もプロアクティブに対処できるようになります。林様は「ビジネス上で、コミュニケーションが滞ってしまうのは大問題です。当グループのようにグローバルにビジネスを展開していると、問題発生を24時間監視しなければなりません。Office 365への切り替え直後は監視が大きな負担でしたが、TCSのおかげで安心できるようになりました」と話します。
Office 365の稼働開始から半年以上がたち、日本郵船グループからのチケット数は月間約180件に上ります。TCSの運用サポートによって、NBS様のOffice 365サポートにかかるコストが削減された結果、ビジネスにも好影響を与えています。「当社へ回ってくるチケットが少なくなって、マンパワーを別業務へ振り分けることができました。業務負荷の低減に貢献してくれていると感じます。また当初お願いしていたOffice 365のサポートにとどまらず、セキュリティー周りやアカウント管理など、お願いできる領域が拡大しています。TCSにサポートをお願いすることで、夜間や週末、日本の祝日時のインシデント発生の心配が解消しました。日本が祝日でも、海外のグループ社員は運用サポートへ連絡すればいいとわかっているので、心強く思っているようです」(林様)
丸野様は、TCSに対する今後の期待を次のように語ります。「現状では、TCSのバリューを最大限発揮できるような依頼をできておらず、もったいないと感じています。本来はインシデント報告を受け付け、内容を分析・解析し、運用改善へつなげていく力がTCSにはあると思います。当グループのビジネスへの理解も深まってきた今、次はそういった上位レベルの業務をどうお願いしていくかを、一緒に考えていきたいと思っています」
今後も日本TCSは革新的なソリューション提供を通じて、日本郵船グループおよびNBS様のグローバルビジネスをご支援してまいります。
創立:1885年
本社所在地:東京都千代田区
事業内容:国際的な海上運送業を主とした総合物流事業および客船事業、ターミナル関連事業、海運周辺事業、不動産業、その他の事業など。
株式会社NYK Business Systems
設立:1988年
本社所在地:東京都中央区
事業内容:日本郵船グループ各社の企業戦略に沿った情報戦略の策定・推進、業務システムの企画・開発・保守・運用、各種ユーザー支援など、ICTを活用した幅広いビジネスソリューションを提供。
※掲載内容は2017年3月時点のものです