ChatGPTの導入をきっかけとして、多くの企業で生成AIの導入が急速に進んでいます。日本でのAI技術が進展する中、三菱グループ各社ではどのように生成AIが活用されているのでしょうか。マンスリーみつびしに掲載された特集記事(2024年6月20日配信)では、各社の担当者がその取り組みをご紹介します。
日本TCSからはグローバルコンサルティングプラクティス統括本部の西誉とAIセンターオブエクセレンス本部の三澤瑠花が、生成AIの市場やトレンド、今後企業がAIを活用するために必要なことを解説しました。
主な内容:
URL:https://www.mitsubishi.com/ja/profile/csr/mpac/monthly/special_feature/2024/06/1.html
(マンスリーみつびし 2024年6月20日配信号)
※本稿は、マンスリーみつびしの記事より、生成AIの市場やトレンド、今後企業がAIを活用するために必要なことを当社の西誉、三澤瑠花のコメントを基にまとめています。
日本市場では2023年から生成AIの導入が急激に進んでおり、2030年には市場規模が20倍に拡大すると見込まれている。生成AIの性能はこの1年で目を見張るような技術発展を遂げ、数年後には私たちの予想を超えるような進展があると考えられている。
生成AIを活用した業務の効率化や省人化、自動化を目指す企業が急増しており、データドリブン経営や新事業の創出の観点からもAIの活用はさらに進んでいくと予想できる。
今後は人間主体の業務をAIが部分的に担うようになり、これまで暗黙知として属人化されていた業務をデジタル化・標準化することで、AIが業務をこなすようになると考えられる。将来的には、AIが主体となって業務を行う世界が到来するだろう。
現在はその初期段階であり、企業は試行錯誤しながら生成AIの導入を進めている。AI導入にあたっては、目的ではなく手段であることを忘れてはいけない。たとえば、日本で人口減少が進む中で、省人化や効率化といった経営課題に対し、AIをどう活用するかが重要となる。
つまり、やみくもにAI活用を試みるのではなく、曖昧な暗黙知を明確なルールに落とし込むことがポイントであり、その結果、AIではなくルールエンジンを用いて業務を省力化・自動化する選択肢もあり得る。
AIは確率論に基づいているため、必ずしも100%の答えを出せるわけではない。しかし、日本企業では100%の答えを求めがちである。そうなると「AIは使えない」という声も出てくるが、それではいつまでも課題を解決できない。AIが主体となっても、人間のレビューは必ず必要になる。
今後はアジャイル的な観点を持って、AIと人間を組み合わせる形でビジネスに取り入れていく必要がある。三菱グループの各企業の事例を見ても、AIが人間の補助をする、もしくはAIと人間の共同作業といった取り組みが多いことがわかる。
定型業務については旧来のAIや生成AIでも容易に対応できるが、次の段階である接客対応などの非定型業務については難しい部分もある。しかし、生成AIと人間の共同対応は今後確実に拡大していく。生成AIだけでなく、他のAIと組み合わせたAIのシステム化が進む可能性もある。
生成AIは人間が作り出したデータを学習して情報を生成する。それはフェイク情報や過去の情報に基づいた情報になる可能性がある。また、将来的にはAIが生成した情報を元にAIが学習することも起こり得るため、情報の信頼性やリスクに対する考慮が必要である。AIをさらに活用するならば、AIの特性を正しく理解することが重要。
海外ではAIをビジネスに活用する動きが進んでいる。アメリカではAI研究が進展しており、AIの研究者や開発者は技術発展と同時に政府と一緒に法規制も考えている。日本の場合、開発が先で法規制は後で作られる。一方、欧州ではマーケットを取られないために法規制を作る傾向がある。アメリカは開発と同時に法規制を作っているため、すぐにマーケットを拡大する準備ができる。これが大きな違いといえる。
日本ではAIエンジニアが不足している状況である。人材市場ではAI人材の獲得競争が過熱しており、生成AIの普及によってAIの世界が民主化されたことで、特定の専門家だけでは回せない状況となっている。だからこそ、新たにリスキリングしてAI人材を育成することが不可欠。
AIの活用では倫理面も含めた議論が必要である。これから私たちはAIとうまく仕事をするために、適切な使い方を学び、相棒のように付き合っていくことが重要になる。
記事の本編では、上記の当社の見解のみならず、三菱グループの生成AIの具体的な社内活用事例も紹介しております。
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https://www.mitsubishi.com/ja/profile/csr/mpac/monthly/special_feature/2024/06/1.html
※掲載内容は2024年6月時点のものです。