ビッグデータ活用は、長らくビジネスの重要な課題と言われ続けています。実際の活用に際しては、分析手法以外にも様々な観点からの検討が必要となります。TCSの有識者が知見や経験を元に、
という三つの観点からビッグデータ活用に関する考えを紹介していきます。
今回は、第2弾としてビッグデータのビジネス活用について「アナリティクスを取り入れたアジャイルなサプライチェーン」がテーマです。
サプライチェーン・マネジメント(SCM)は急速に発展し続けています。
企業は、グローバリゼーションや消費者嗜好の急激な変化、ソーシャルメディア上での顧客対応などがもたらす新たな課題へ機敏に対処していかなければなりません。そのため、サプライチェーンに関しては完全に見える化し、需要に的確に応えるための在庫管理、将来需要の正確な予測、さらには低コストでのオペレーションを同時に実現する必要があります。
これは、企業のサプライチェーンマネージャーにとって、かなり難易度の高い課題となっています。
現実には、多くの有名企業でもこの課題への対処に苦労しています。
よく引き合いに出される例として、 SCMの混乱でラルフローレン社の利益が半減したケースがあります。同社の収益は数億円規模で縮小し、主要取引先との関係性にもダメージを与えました。
より最近の例では、世界的なゲームメーカーである任天堂がNintendo Switchを発売した際に、品切れ状態が続いて消費者が不満を募らせたケースがあります。
以上のケースでは対処療法的な手段によって事態の収拾が図られましたが、企業はそれらの反省を踏まえ、より能動的なアプローチで自社のサプライチェーン課題に取り組むようになりました。
この課題への解決策を見つけることは難しいことではありません。
「次世代の技術」と「最適な導入方法」について考え続けることで、今までのサプライチェーン戦略を見直して複雑で不確実なマーケット下で生き残る方法が見つかります。
現在は、企業のデジタルトランスフォーメーションが進み、サプライチェーンの崩壊を防ぐ重要かつ適切なソリューションとして、データドリブンなアナリティクスを導入できる段階です。
サプライチェーンにアナリティクスを導入することで、需要予測の精度を上げて、安全在庫などの在庫レベルを最適化するとともに、在庫分類を改善し、最適化計算とシミュレーションを通して物流ネットワーク計画の策定が可能になります。また、調達プロセスを改善して、直接・間接費の最適化を図れるようにもなります。
アナリティクス導入企業は、サプライチェーンの課題に素早く対応できるようになり、改善の機会も的確に特定できるようになります。
需要予測
在庫管理
調達計画
物流ネットワークデザイン
IoT革命とビッグデータは、サプライチェーンを飛躍的に改善させる可能性を秘めています。しかしながら、IoTとビッグデータを活用するには、大規模な非構造化データを扱う困難な作業をもたらす可能性があります。
このような場合でも、蓄積されたナレッジとアナリティクスツールを用いて対応できるようになります。
先進的なアナリティクスを駆使すれば、生産性を最大限に高めると同時にサプライチェーンの総コストを最小化し、さらにはリアルタイムのKPIトラッキングによって迅速なアクションを取るといったことも可能になるのです。
サプライチェーンにアナリティクスを導入することで機動性を向上させながら、受け身的なアプローチから脱却し統制を効かせることが可能になります。
TCSは能動的なアプローチを採用しサプライチェーンマネジメントを変革することで、Business4.0™を実践しているお客様を多数支援しています。既に多くの企業が、大きな成果をあげています。
当社は、効率的で効果的なサプライチェーンを実現するための課題を洗い出し,お客様のビジネス変革実現をサポートいたします。
顧客の需要と在庫状況のバランスを低コストで運用するためには効果的な需要予測とサプライチェーンの可視化が必要になります。多くの大企業もこの問題に取り組んでいますが、うまくいかないケースもあります。企業は問題に対処するのではなく、未来を予測し仮説に基づく検証を繰り返して自社のサプライチェーン戦略を最適化していくことを求められます。そのためにはデータを収集し、きちんと分析することが必要不可欠です。IoTやビッグデータ、AI等の技術は、サプライチェーン変革にも大きな可能性を秘めています。TCSはこれらのノウハウをもとにお客様のビジネス変革を支援します。
次回は「ビッグデータの組織的活用」について紹介します。
※掲載内容は2019年7月時点のものです。