インテリジェントオートメーションは登場以来、従来型とデジタルビジネス型の両方において、効果と効率を高めるためにさまざまな方法を提供してきました。組織は部門や地域を問わず、オートメーションをプロセスに組み込むことで、着実に成果を上げています。 しかし、オートメーションによって自社のビジネスを本当の意味で変革し、従来の手法から脱却して飛躍的な成長を遂げた企業は少数です。その要因としては、ビジネスへの関与が不十分であること、計画が不十分であること、ビジネスの成果や消費者の状況に目を向けていないこと、あるいは十分に広い視野で考えていないことなどが挙げられます。 インテリジェントオートメーションは、単に「スマート」で「スピーディ」であるだけでなく、多くの可能性を提供してくれます。ここでは、オートメーションを大幅に促進するための7つの方法を紹介します。ただし注意していただきたいのは、この方法を採用するためには、今までの概念を捨てる必要があるということです。
最も基本的なレベルでは、業務効率化、非線形なアプローチでの拡張、ビジネス上の意思決定の迅速化、あるいは目標の達成という観点から、企業はインテリジェントオートメーションに期待する成果を明確に示す必要があります。また、目指すべき姿を考慮することも肝要です。
ここで重要な点は、成果を見据えたビジョンを持ち続けることです。そのためには、最も優れた業界標準をベンチマークとして、成果や業績動向に結びつくすべての要因を把握する必要があります。
大半の企業は、リスク許容度に応じて、オートメーション技術を1つずつ段階的に導入してから次のフェーズに移行します。このような段階的な導入は、価値全体の可視性と複数コンポーネントによる相互の関係性を損なう原因となります。
オートメーションで真の変革をもたらすためには、企業はエンド・ツー・エンドの手法を採用して、すべてのオートメーションコンポーネントが継続的に機能するように保証しなければなりません。そしてこの手法では、成長型マインドセットを採用し、迅速かつ確実にプロセスを完了させるために、ビジネスにおけるサイロ化を横断的に調査する必要があります。
例えば、顧客の設定、問い合わせ、注文の受領、請求、入金、トラブル対応など、受注から売り上げ回収(O2C: Order to cash)までのバリューチェーン全体を見渡し、すべてのオートメーション化が体系的、連続的、かつ首尾一貫したものであると確認することです。当社は、グローバルの大手化学製品会社と協力して、O2Cプロセス全体にインテリジェントオートメーションを導入しました。このプロジェクトでは、注文追跡の改善と失注の防止により、時間内の受注処理率を71%から93%まで高めることができました。
100%オートメーション化を実現することは不可能なので、オートメーションの深度、強度、介入ポイントを最適化する必要があります。オートメーションプログラムの成功は、どこにどれだけのオートメーション化を適用するかを導くデータドリブン手法にかかっています。このような手法は、オートメーションの成熟度とさまざまなオートメーション手段が業績に与える影響の両方を評価する体系的な方法を提供してくれます。
例えば、当社は、請求ミスにより代理店に多額の支払いをしていた大手公益事業者と提携しました。この提携により、当社はデータドリブン手法により請求プロセスにおけるオートメーションの候補を正確に特定し、ミスによる損失を大幅に削減することに成功しました。
オートメーションを最大限に活用するためには、企業は自社だけでなく、学界やスタートアップ企業、その他の実績のある企業と提携する方法を見つけなければなりません。目的主導型のエコシステムは、業界や機関の枠を超えたコラボレーションの入口となり、企業は研究や新たなユースケースにアクセスできるようになります。
例えば、旅行会社は行動パターンや消費パターンを分析して顧客セグメントを作成することで新たな収益源を開拓できます。その情報をもとに金融機関と提携し、個人に合わせたトラベルローンやクレジットカード、両替などを提供することができます。
企業は、ビジネスモデル、サプライチェーンの形態、顧客獲得のチャネル、価格体系(例:プレミアムから「フリーミアム」)を変更する必要に迫られる場合があります。このため企業は、通常業務を続けながら、急速に変化する環境に適応するためのモジュール式を変更できる能力を身につける必要があります。プラグ&プレイ、モジュール式、拡張可能なデジタルソリューションから構成されるエコシステムは、こうしたさまざまなニーズに対応する上で役に立ちます。
例えば、オートメーションによって、製造会社は市場環境の変化に応じて購入する場所、業者、原材料を素早く切り替えられる購買チャネルを設定できるようになります。また、ハイパーオートメーションにより、ニュースサイトはリアルタイムでビジネス情報を作成し、財務分析ができるようになります。
組織がインテリジェントオートメーションから最大限のメリットを得るためには、企業全体でソリューションを拡張し、多様な専門知識を持つ各事業部門の従業員が貢献できる環境が必要です。
この自由度を高めるためには、組織が評価するための堅牢なフレームワークを持ち、優先度や変更履歴を追跡できる仕組みも必要です。導入しやすいローコード・ノーコード(LCNC)技術の構築と実装に特化したセンター・オブ・エクセレンス(CoE)の編成により、技術者以外のチームメンバーが簡単にオートメーションソリューションを使用、開発することをサポートできます。CoEを機能させるためには、変革のナビゲーターとなって多くの知識をもたらし、プロジェクトにおいて従業員を指導できる人材をCoEに配置する必要があります。
企業は、目的をもってアイデアを実験し、画期的なオートメーションのユースケースを開発したいという従業員の意欲を維持するためのモデルを構築する必要があります。オートメーションにリーンスタートアップ手法を採用することで、企業は本格的な変革に着手する前に小規模なテストから実施できます。
また、組織内でイノベーションを推進するためには、画期的なソリューションを集めるための的を絞った取り組みと、下流のイノベーションを推進するための全社的なエバンジェリズムを組み合わせる必要があります。ソリューションのプロトタイプは、正式な調査、プロセス改善の取り組み、「アイデアソン」などのイベント、アイデアをもたらす可能性のある従業員への積極的な働きかけなどから生まれます。拡張性のあるプログラムを作るには、多くの従業員の参加を促すために、明確なキャリアの道筋と研修プログラムを用意することが重要です。
急速に進化するビジネスとテクノロジーの状況は、インテリジェントオートメーションが企業の前進を後押しするブースターとなる可能性を秘めていることを示しています。しかし、そこに到達するためには、オートメーションが企業のDNAに組み込まれていなければなりません。ここまでお話ししてきた7つのポイントにより、企業はオートメーションを活用し、目的の達成や戦略的価値を引き出すことができるでしょう。
日本企業にむけて
オートメーションの活用により、人件費や人手の作業を削減でき、さまざまな業務/作業の正確性や迅速性を高めることができます。オートメーション化が進むとコストと時間を有効活用でき、生産性を向上でき新技術の企画検討やコア業務に集中することができるため、お客さまのビジネス展開に貢献できると考えております。
また、オートメーション化を進めるためには、どのビジネス業務や運用業務をオートメーション化すれば良いか見極めが必要であり、ビジネスケースを計るためもさまざまなデータを一元化し、可視化することがオートメーション化の第一歩と考えております。