東京| 2023年9月6日: タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、オムロン ヘルスケア株式会社(本社:京都日向市、代表取締役社長:岡田歩 以下、オムロンヘルスケア)ならびにインド高血圧学会(Indian Society of Hypertension)と協働し、インド在住の高血圧患者における家庭での血圧測定の有用性を検証する観察研究を実施しました。
本研究は、インドにおける家庭血圧測定の普及と高血圧治療の向上に貢献することを目的として、インド国内12州18施設で実施しました。
循環器疾患はインドにおける死因の約2割を占め、そのうち8割は虚血性心疾患と脳卒中となっています*1。高血圧は脳・心血管疾患の主な危険因子のひとつといわれています*2, *3。血圧は一日を通して常に変動しており、環境や気温の影響をうけます。
*1 Prabhakaran D, Jeemon P, Roy A. Cardiovascular Diseases in India: Current Epidemiology and Future Directions. Circulation. 2016;133(16): 1605-1620.
*2 Nag T, Ghosh A. Cardiovascular disease risk factors in Asian Indian population: A systematic review. J Cardiovasc Dis Res. 2013;4 (4):222-228.
*3 Gupta R, Xavier D. Hypertension: The most important non communicable disease risk factor in India. Indian Heart J. 2018;70 (4):565-572.
ある種の高血圧は、医療機関での測定のみでは正確に把握できないことが判明しており、これらには、例えば、患者が(白衣を着た)医師の診察に直面して緊張することによって一時的に血圧が上昇する白衣高血圧や、医療機関外で血圧が上昇する仮面高血圧などが挙げられます。
よって、よりよい高血圧治療を実施するためには、継続的かつ恒常的な家庭での血圧測定と、定期的な医療機関での血圧測定が重要になります。
TCSは、オムロンヘルスケアと協働し、BPaaS(Business Process as a Service)モデルを採用して、異なる設定条件下で高血圧の変動を分析するため、対応する観察研究において、エンド・ツー・エンドのサポートを提供しました。これは、直感的で、構造化されたダッシュボードの提供、トレーニングサポート、治験責任医師への24時間体制の支援を通じて達成しました。TCS ADD™データマネジメントプラットフォームのCSVファイルアップロード機能を活用することで、データ入力のアジャイルアプローチを構想し、この観察研究のライフサイクルも短縮しました。
またTCSは、TCS ADD™データマネジメントプラットフォームの構築・提供、データマネジメント、統計解析、メディカルライティング、および、Investigator Meeting*4の支援で本研究をサポートしました。
*4治験依頼者(製薬会社等)が治験参加施設の医師や治験コーディネーター(CRC)向けに開催する会議。
本研究では、インドの高血圧の現状について正確な見通しが得られたほか、家庭での血圧測定の重要性を啓発することで、インドにおける高血圧に対する認識を高め、それぞれの地域や一人ひとりの患者に最適な治療を行うための足がかりとなりました。
オムロンヘルスケア株式会社 技術開発統轄部 統轄部長の濱口剛宏氏は、次のように述べています。
「血圧計を発売し始めて今年で50周年を迎えました。当社は、機器開発だけにとどまらず、大迫研究*5のような世界的に有名な研究者や医師と共に数々の研究を行い、家庭での血圧測定の普及に取り組んできました。この度、インド高血圧学会ならびにTCS社の協力のもと、家庭での血圧測定に関するエビデンスが少ないインドで実態研究を行えたことに感謝します。当研究を通じてインドで暮らす人々の健康ですこやかな生活に貢献することを期待しています。そして、当社が掲げる循環器事業のビジョン「脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」の実現に向けて、これからも積極的にグローバルで研究活動を進めていきます」
*51986年から始まった岩手県花巻市大迫町の住民による大規模臨床研究。高血圧管理における家庭血圧の臨床的意義を確立した。
インド高血圧学会コミッティメンバー、キング・ジョージズ・メディカル大学(King George's Medical University)のナーシン・ヴェルマ(Narsingh Verma)教授は、次のように述べています。
「家庭血圧測定は、世界的にも有効な高血圧管理のツールとして認知されているものの、インドにおいては医療機関での血圧がいまだ主な測定方法と認識されており、家庭血圧測定をサポートするためのエビデンスが欠けているのが現状です。このたび家庭用血圧計のヘルスケア業界におけるパイオニアであり、信頼できる企業であるオムロンヘルスケアと協業できることを光栄に思います。一方、TCSは、臨床研究および観察研究のためのITサービスおよびコンサルティングの世界的リーダーです。当研究は、インド全土の高血圧患者が血圧計を7日間使用し、血圧コントロールを調査するというものであり、インドで行われる初の観察研究です。三者連携のもと、インドにおける家庭での血圧測定の重要性を確認するエビデンスを構築することは、より良い高血圧治療の確立にも貢献するものと考えています」
日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ(日本TCS) 常務執行役員 小売・消費財・ライフサイエンス事業本部長の前田全紀は、次のように述べています。
「次世代の臨床データ管理では、効率性の向上、インサイトの強化、所要時間の短縮、コンプライアンス(法令遵守)への迅速な対応を実現するために、マニュアル(手作業)による臨床データ処理から自動化による処理への転換が求められています。当社は、TCS ADD™プラットフォームが持つデータサイエンス、AIやML(マシンラーニング: 機械学習)主導の臨床データ管理ソリューションなどの現代的でオープンな機能を継続的に拡張・拡充しながら、臨床研究開発のバリューチェーンを変革し、ライフサイエンス業界および社会に向けてより優れた価値を提供できるよう努めていきます」
以上
タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)について
タタコンサルタンシーサービシズ(TCS)は、世界中の大手企業における変革の道のりを50年以上にわたり支援している、ITサービス、コンサルティングおよびビジネスソリューション企業です。コンサルティングを基盤とし、コグニティブ技術を活用した、ビジネス、テクノロジー、エンジニアリングのサービスやソリューションを総合的に展開しています。これらをTCS独自のソフトウェア開発基準である「ロケーションインディペンデント・アジャイル・デリバリーモデル(Location Independent Agile™ delivery model)」を通じ、地理的な制約にとらわれることなく提供しています。
TCSは、世界最大規模の多国籍複合企業体であるタタ・グループの一員で、最高水準のトレーニングを受けた61万5,000人を超える人材を擁し、世界55カ国で事業を展開しています。2023年3月31日を末日とする会計年度の売上高は279億米ドルで、インドナショナル証券取引所とボンベイ証券取引所にも上場しています。また、気候変動に対する積極的な取り組みや表彰を受けた地域活動を世界中で展開しており、MSCIグローバル・サステナビリティ・インデックスやFTS4Eグッド・エマージング・インデックスをはじめ、主要なサステナビリティ指数の構成銘柄に名を連ねています。
TCSの詳細は、www.tcs.comをご覧ください。